「ポイントで株投資」が初心者に広がり始めた訳 投資未経験者の資産形成のハードルを下げる

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ポイントを株式投資に活用する動きは、証券会社の間でも広がっている。NTTドコモとSMBC日興証券の投資アプリ「日興フロッギー」は今年3月、ドコモのdポイントで株が買える新サービスを立ち上げた。東証上場の約3700銘柄などが対象で、100ポイント(100円)から買うことができる。どの銘柄を選べばよいかわからない初心者は、日興フロッギー内に掲載されている企業情報の記事を読み、直接株を買える。

ポイント投資は若年層のユーザーが多いイメージがあるが、2020年5月時点、40、50代のユーザーが過半数を占める。実数は非公表だが、dポイントのサービス開始前と開始後それぞれ3カ月間の1日当たりの新規口座開設数を比較すると、開始後は6.5倍に伸びている。

NTTドコモFinTech推進室の倉島猛主査は、「利用者を伸ばせた背景には、dポイントで投資を疑似体験できるサービスで『投資の入り口』をつくってきたことが大きい」とみる。同社は2018年から、dポイントで株を疑似運用できるサービスをスタート。投資を始める際に必要な口座開設などが不要で、投資未経験者やまとまった資産を持たない若年層などが利用し、現在サービス利用者は65万人を突破している。

疑似運用サービスでは、お任せ運用に加えて、金やヘルスケアなど好きなテーマを選べるコースも設けた。コロナ禍で株価が乱高下したこともあり、値崩れしない「金」や「クリーンエネルギー」が人気だという。

投資未経験者向け資産形成サービス続々

このほか、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とSBI証券が立ち上げた「SBIネオモバイル証券」は、Tポイントを使ったポイント投資を展開している。現金とポイントを組み合わせることもでき、2019年4月の開業から、11カ月で30万口座を突破した。

銘柄指定からお任せ運用までさまざまなタイプがある(出所)筆者作成

SBIネオモバイル証券によると、初回の取引は約7割の人がTポイントのみを使うが、2回目以降はお金を使った投資の割合が増えている。ポイント投資をきっかけに、投資未経験者が資産形成を始めていることがうかがえる。

野村ホールディングスもLINE証券で、対話アプリ「LINE」のポイントを使って直接投資できるサービスを展開する。東証上場の3700銘柄を扱い、1株数百円から取引できる銘柄も用意している。

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