「ポイントで株投資」が初心者に広がり始めた訳

投資未経験者の資産形成のハードルを下げる

買い物などで貯まる「ポイント」を投資に回すサービスで、投資を疑似体験する人が増えているようです(写真:USSIE/PIXTA)

フィンテック企業や証券会社などが、買い物などで貯まる「ポイント」を投資に回すサービスを次々に打ち出している。スマートフォンで売買できるものも多く、1株数百円から買える手軽さが人気だ。

昨年話題になった「老後2000万円問題」など人生100年時代を見据えた資産形成、このコロナ禍で第2の収入源を模索する人も多い。各社は心理的ハードルの低いポイント投資から始めてもらい、お金を使った本格運用を促す狙いだ。

「nanaco」や「ANAマイル」にも対応

愛知県在住のメーカー勤務の男性(36歳)は昨年秋からフィンテックベンチャー、TORANOTEC(トラノテック)の少額投資を始めた。男性は妻と就学前の子供の3人暮らし。自分の給与と退職金を計算したときに「定年退職後に余裕をもって生活できないのではないか」と、不安を感じたことがきっかけで、5年ほど前から投資を始めた。

これまで日本株やFX(外国為替証拠金取引)など複数の投資に参戦してきた。だが「FXで50万円ほど損をした。レートをチェックするために仕事中もスマホを手放せなかった」と振り返る。「無理なく、少しずつ運用益を出したい」と始めたのが少額投資だ。

トラノテックのサービス「トラノコ」は、ポイントとおつりでの投資を組み合わせている。特徴は対応するポイントの種類の多さで、電子マネーの「nanaco(ナナコ)」やANAホールディングスのマイル、ポイントサイト「ポイントタウン」など8種類が使える。

おつり投資の仕組みもユニークだ。事前に登録したクレジットカードや電子マネーに自分が金額を設定したうえで買い物をすれば、5円から1円刻みでおつり分を投資に回せる。

例えば100円単位で設定した場合、120円の商品を買えばおつりの80円分が自動的に投資に回る。投資先はリスクに応じ3段階のファンドから選ぶ「お任せ運用型」で、ポイントとおつりでの投資に加え、7月からは歩いた距離に応じて投資に回せるポイントがたまる「歩数計アプリ」のサービスも始めた。

男性は、毎月1万~3万円ほどをおつり投資に、約2000円分をポイント投資に回す。今は日本株の個別銘柄投資とトラノテックの投資サービスで資産運用しているといい「FXで負けた分を取り戻し、定年までに投資で200万円貯めることが目標」と話す。

同社のジャスティン・バロック社長は「日常生活の中で、多くの人が投資への接点を持てる仕組みを考えた」とサービスを立ち上げたきっかけを説明する。ユーザーは投資初心者が多く、年齢は40代までが約8割を占める。「ポイントが失効する前に投資で有効活用したい」という人も多い。藤井亮助取締役は「アメリカはクーポン文化だが、日本人はポイントが好き。心理的なハードルも低い」と話す。

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