「ポイントで株投資」が初心者に広がり始めた訳 投資未経験者の資産形成のハードルを下げる
昨年6月、金融庁が発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」が大きな議論を呼んだ。金融審議会の「市場ワーキング・グループ」がまとめたこの報告書は「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万~2,000万円になる」としている。そのうえで老後の生活において、公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか考える重要性を指摘している。
しかし、当時の報道によると、報告書を巡っては野党などから「公的年金制度に不安を抱かせる内容」「投資への誘導を急ぐためのもの」などの反発の声が上がった。結果、麻生太郎財務相がこの報告書を受け取らないという異例の事態になった。
この「老後2000万円問題」が投資に注目が集まるきっかけになったとみる金融関係者は少なくない。実際、個人投資家は増加傾向で、東京証券取引所が今年7月3日に発表した2019年度の個人株主数は前年度比199万人増加して5672万人と過去最高になった。
コロナ禍が将来の資産形成を考える機会に
投資初心者が増えたもう1つの背景は、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念した相場の変動だ。株価は一時的に急落。このときの安値をチャンスと捉えた個人投資家が増えているとみられ、トラノテックでも2~5月の新規口座開設数は毎月前月を更新した。「相場が荒れたので解約者が出ることを懸念したが、2、3月の解約率は過去最低だった。将来の資産形成を考えたいという意識が働いているのでは」(藤井取締役)。
投資教育の重要性も指摘されている。日銀に事務局を置く金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査2019年」によると、生活設計や家計管理などの「金融教育」を受けたと認識している人は、投資を行う人が多い結果が出ている。また、金融知識の階層別に投資行動を見ると、正答率が高いほど株式、投資信託、外貨預金などに投資している人が多い。
今後も資産形成の入り口としてポイント活用の動きは広がりそうだ。ただ、少額投資であっても元本割れのリスクはある。自分に合ったサービスを選びたい。
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