ヤマ発が「赤字子会社」を完全に取り込んだ理由

ロボティクス事業で投資を加速する狙いとは

ヤマハ発動機のロボティクス事業の工場。コロナ禍でも稼働を続けた(写真:ヤマハ発動機)

2020年7月、ヤマハ発動機がある子会社に約115億円を投じ、完全子会社化した。その企業名はヤマハモーターロボティクスホールディングス(YMRH)。同社は2019年12月期に39億円の営業赤字を計上するなど、業績不振が続いていた。完全子会社化に伴い、YMRHは上場廃止となった。

ヤマハ発動機といえば、バイクや船のイメージがあるだろう。実際、それらの売り上げは同社全体の86%を占める(2019年実績)。一方、次なる収益柱の確立を目指して、足元で力を入れているのがロボティクス事業だ。

同事業はFA(ファクトリーオートメーション、工場自動化)機器からスタートし、現在は農薬散布用の無人機なども手がける。そのロボティクス事業を支えるのが表面実装機(SMT)と呼ばれる、半導体を作るための機械だ。

戦いの最終局面で投資を加速

「ここは成長分野。戦いの最終局面に来ていて、(投資を)加速する必要があった」。ヤマハ発動機でロボティクスを担当する加藤敏純取締役は、今回のYMRH完全子会社化の狙いについてそう語る。

YMRHは、2019年7月に半導体製造装置メーカーの新川とアピックヤマダ、ヤマハ発動機の一部門が統合してできた。新川は統合直前の2019年3月期に12.5億円の営業赤字。アピックヤマダは6.7億円の営業赤字を抱えていた。いずれも、重い固定費が経営を圧迫しており、統合後は生産拠点の集約や人員整理、調達の一本化を進めてきた。

そもそも、半導体は化学的な素材を加工する前工程と、その素材を形にする後工程を経たうえで、SMTで表面に回路を印刷して完成する。数百もの工程でそれぞれ異なる装置が必要となり、それらを手がけるメーカーの顔ぶれも異なる。スマートフォンやパソコンなどあらゆる電子機器の“頭脳”として使われるほか、5G通信向け、自動車関連の需要も伸びている。

ヤマハ発動機が中・小型のFA向けの産業用ロボット製造に参入したのが1984年のこと。その後、SMTに参入し、コア技術の自社開発やカスタムへの柔軟な対応など強みを生かし、事業を継続してきた。

次ページなぜ統合が必要だったのか
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 日本資本主義の父 渋沢栄一とは何者か
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
徹底検証「都心vs.郊外」<br>激動 マンション・住宅

在宅勤務の長期化を受け新しい住まいへの需要が急膨張。想定外の事態に供給業者も対応に追われています。2度目の緊急事態宣言発出という状況下、住宅市場はどう変わるのでしょうか。最前線での取り組みを徹底取材しました。

東洋経済education×ICT