成功体験が多い人ほど「ない答え」を求める訳

医療の現場では正解がない場面に多く遭遇する

コロナ禍のように、答えの出ない状況に置かれたときこそ大切なのは耐え抜く力だといいます(写真:rainmaker/PIXTA)  
医療の現場では答えが出ない場面に多く遭遇します。きっとどこかに正しい解決策があると考えることは、人生において大切な考え方となりますが、医療では時に弱点になりえます。京都大学医学部特定准教授の大塚篤司医師は、答えがない状況を耐え抜く力について語ります。

ネガティブ・ケイパビリティーの重要性

ネガティブ・ケイパビリティーという言葉を知っていますか?

「答えが出ないことを耐え抜く力」を意味します。

当記事は、AERA dot.の提供記事です

この言葉はイギリス・ロマン主義の詩人ジョン・キーツが初めて書き記した概念といわれています。その後、イギリスの精神科医ウィルフレッド・R・ビオンによって、精神医学の分野でも使われるようになりました。

さて、私があたかもネガティブ・ケイパビリティーの専門家のように説明しましたが、お恥ずかしいことについ最近知った言葉です。

きっかけは『だから、もう眠らせてほしい』(晶文社)の著者でもあり、川崎市立井田病院の緩和ケア医である西智弘先生がWEB講演会で紹介してくれたことに始まります。

西先生は緩和ケア医の立場として、ネガティブ・ケイパビリティーの重要性を伝えています。

いろいろな場面で西先生も語っておられますが、医療の現場では答えが出ない場面に多く遭遇します。

例えば末期がんの告知。

人間誰しもいつかは死を迎えるものですが、それが決して今ではないと信じながら生きています。どこか遠く未来にある出来事として死は存在します。心では準備をしていても、いざ現実のものとして突きつけられると「今ではない」と感じるものです。

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