夏休みに生活リズム崩れた子の体調が心配な訳 自律神経の働きの乱れを放置してはいけない

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また、平日に頑張っているからと、週末に寝だめをすることはおすすめできません。週末の寝だめは平日の睡眠の質を確実に下げることがわかっています。平日と週末で睡眠リズムを変えると、そのズレを体は時差だと誤解してしまいます。ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)と呼ばれるもので、体内時計を元に戻すには数日かかるといわれています。早寝早起き朝ごはんで平日のリズムを整えても、休みのたびにリズムをくずしてしまうのでは、もちろん自律神経の働きに影響を及ぼします。

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入浴に「温冷交互浴」を取り入れるのもおすすめです。これは、お湯と水で体に交互に温冷刺激を与える入浴法で、疲労回復や免疫力アップに効果があり、スポーツ選手が練習後に取り入れていることでも知られています。やり方は簡単で、湯船に数分つかったあと、冷たいシャワーを手先、足先にゆっくりかけてあげます。

熱い湯船で交感神経を刺激したあと、冷たい水でほてりを沈静化して副交感神経を刺激するので、交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズに行う訓練になります。このような方法で自律神経をきたえておくと、普段の生活でちょっとつらい場面に遭遇したときでも、自律神経を上手に切り替えて、適応できるようになります。

イラスト:『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)

整える習慣を「知っていた」家庭は回復も早い

私がサポートしている家庭の子どもたちは、コロナの休校中に生活リズムが変わってしまっても、「自律神経を整える生活習慣」を普段から口すっぱく教えていたので、1週間程度でリズムを取り戻し、元気に学校に通っていました。自律神経を整える習慣を「知っていた」家庭では、多少の乱れはあっても、その後の回復も早かったです。

来週は夏休み明けの不安定な時期を迎えます。「自律神経にいい生活習慣」を取り入れて、子どもをしっかりサポートしましょう。

成田 奈緒子 小児科医・医学博士、公認心理師

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なりた なおこ / Naoko Narita

子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。http://www.kk-axis.org/

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