積水ハウスが赤字転落 新中期計画にも疑問符

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積水ハウスが赤字転落 新中期計画にも疑問符

積水ハウスは2010年1月期決算が黒字計画から一転、410億円の営業赤字に陥ると発表した。地価下落が直撃し、都市再開発事業などで650億円の棚卸資産評価損を計上したことが響いた。

「ウミ出し完了」との見方もあるが、同時に発表された中期経営計画の中身を見れば、危機脱出と言い切るのは時期尚早だとわかる。

同社は注文住宅が主力事業だが、近年は分譲住宅や都市再開発等の不動産事業を強化してきた。だが市況悪化を受け、今回の中計では不動産拡大路線を転換。本業の注文住宅への回帰路線を色濃く打ち出した。最終12年度には営業利益680億円への�字回復を見込む。

まだ潜む“含み損”

しかし、その実現可能性には疑問符がつく。中計では業績悪化の主因となった都市再開発事業の物件を、完成後3~5年で売却をもくろむ「出口(フロー)戦略」物件と、長期で賃貸等収入を狙う「保有(ストック)戦略」物件とに二分。

前者には今回の評価損の主役である大阪・御堂筋の「本町南ガーデンシティ」や旧ソニー本社跡地の「御殿山プロジェクト」を、後者には大阪「梅田北ヤード」などを入れた。また御殿山プロジェクトはメインのオフィス棟を前者に、高級マンション棟を後者に振り分けた。

「保有戦略」物件は棚卸資産ではなく固定資産に計上され、一部マンション物件を除き原則、650億円の棚卸資産評価損の適用対象外となっている。「出口戦略」物件の資産規模は約2400億円である。一方、本社のある梅田スカイビルなどを含めた「保有戦略」物件の総資産は12年度で2030億円になる見込み。「御殿山や本町南に比べて、この部分は規模が小さい」(山口英大執行役員)と言う。

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