"家を試着する"という大和ハウスの試み 建てたい住宅を3Dでヴァーチャル体験

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実物大の構造躯体で商品に対する理解を深められる

それにしても、なぜ大和ハウスはこのような施設を開設したのか。

顧客の要望に応じて、個別に注文を請け負う戸建て住宅業界は、どうしても「クレーム産業」としての側面が強くなる。大和ハウスも例外ではなく、住宅事業推進部長を務める中村泉・常務執行役員は「思ったほど玄関が広くなかったといったアンケートがお客様から返ってくることもある」と語る。

大和ハウスが「注文住宅の『試着』」に取り組む背景には、クレームの芽を事前に極力排除するという目的がある。このため、ヴァーチャルな体感を提供する「トライエ」に先駆けて、昨年12月には同じく東京本社内で、住居空間をリアルに体感し、外装材・内装材や水回り、収納アイテムなども確認できる商談スペース「リビングサロン東京」をリニューアルした。

体制面では、営業、設計、工事、コーディネーターなどが一体となって、リアル、ヴァーチャルなツールを活用し、顧客に対してわかりやすい提案を行うよう努めていく。

満足度向上で顧客を囲い込む

狙いはそれだけではない。少子高齢化、人口減少と住宅業界をめぐる環境は厳しさを増している。市場縮小が懸念される中、大手といえども安閑としていられない。「注文住宅の『試着』」という取り組みには、顧客満足度をアップさせることで、口コミによる評判の向上や成約した顧客からの見込み客の紹介を増やそうという思惑がある。

「老人や子どもを交通事故から守る歩道橋を初めて建てたのも、自己資金のないお客様に対して住宅ローンを開発したのも大和ハウス。これまで世の中になかったものを開発して常識へと変えてきた」と、中村泉・常務執行役員は意気込む。消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が長引く中、新製品投入や顧客満足度向上への取り組みなど、戸建て住宅各社の顧客獲得競争は激しさを増すばかりだ。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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