アフターコロナはバブルになる可能性が大きい 適応的市場仮説でコロナ後の市場を考えてみた

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縮小

いつの時点なのか筆者にはまだ分からないが、状況が「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」に変化する時が来るはずだ。「ウィズコロナ」の経済とマーケットは、大まかには、コロナによる活動制約と需要縮小がもたらす実物経済の「不景気」と、これを金融システムに波及させないための金融・財政の緩和政策の引っ張り合いだと要約できる。政策論としては、後者は目標インフレ率に達するまで十分に強いものである必要があるし、いきなり中止したり、逆回転させたりするべきではない。

さて、こうした状況で、業種や会社、個人によって差を伴いながらも、コロナの影響が後退して、経済が「アフターコロナ」に移行すると何が起こるだろうか。

思うに、バブルが起こる可能性が相当に大きいのではないだろうか。政策面での「緩和」は急に止められないだろう。ただでさえ、金融政策では中央銀行に引き締めが遅れるバイアスがあると言われてきた(日本は極端な例外だが、今回、日銀は「そうはしない」と繰り返し言っている)。

付け加えると、サブプライム問題の際に「個人」に溜まった債務は、コロナ前には「企業」(特にアメリカ企業)で膨らみ、コロナを機に、債務を膨らませる主体が「政府」に移った。常識的に考えて、次に債務を肩代わりしてくれる移転先はないので、「アフターコロナ」では、いよいよ何十年かぶりにインフレが問題になるかも知れない。

リスクプレミアムの過剰な縮小が起こる可能性

インフレはさておき、「アフターコロナ」に移行する段階で、投資家の認識や行動はどう変化するだろうか。端的に言って、リスクプレミアムの過剰な縮小が起こるのではないか。アメリカでいうと、2000年代初頭のネットバブルの崩壊、2007年から2008年にかけてのサブプライム問題からリーマンショックに至ったプロセス、さらに今回のコロナショックとった「ショック」(≒株価の大幅下落)が、何れも主に中央銀行の政策によって救われた。こうした経験が続くと、投資家は、「株価は下がっても必ず戻る」という経験則に対する忠誠心と同時に依頼心を高め、「長期に投資していれば絶対に大丈夫だ」との思想を強化するのではないか。

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この認識変化の帰結は、リスクプレミアムの縮小だ。例えば、先程のリスクプレミアムの拡大と同様の計算をすると、例えばリスクプレミアムが5%から3%に低下するなら、株価に対しては66.7%の上昇効果があっておかしくない。

仮にそうなると、長期投資の成功に「強い信念」を持って臨んだ投資家は、そのさらに将来、リスクプレミアムが平均回帰する際に、かなりの深傷を負うことになるかも知れない。念のために申し上げておくが、最後の状況を、今の時点では警戒する必要は「全く」ない。

なお、適応的市場仮説は人間を「生物」と見るのだが、人間は、立場により、個体差によって「一様に同じ存在」ではない。生活、ビジネス、金融市場など様々な場で、有利な集団と不利な集団、さらには食う側と食われる側に分かれるのが現実だ。

適応的市場仮説には、人間を集団に分けた適応・不適応などの分析が進むことを期待したい。念のために付け加えるが、経済的人間の適切な区分は、今や「資本家」と「労働者」ではない。資本家も時には搾取されるカモでありうることは、すでにリーマンショック時に、分かる人には分かっていたことだと思う。この続きは、また別の機会に(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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