新幹線が開業すれば「安く速く」なりそうな区間 建設中の路線から実現性は「?」の路線まで

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松山―大分間は、まず在来線で松山から八幡浜まで1300円(62.1km)、その近くの港からフェリーで2350円、九州に降り立った後はまた在来線に乗り、臼杵から大分まで760円(36.3km)。合計4410円で5時間〜6時間半かかる。ちなみに全区間をJRで移動する場合は運賃だけで1万1150円となり、岡山―小倉間で山陽新幹線を使ったとしても6時間かかる。

これが新幹線だとどうなるか。大分市が実施した「豊予海峡ルート調査業務」によると、この際の想定では松山駅―大分駅間の距離は146kmだ。JR四国の運賃だと2790円。新幹線特急料金2530円(JR西日本基準で算定)を足しても5320円だ。大分市の調査資料だと所要時間は38分。これなら新幹線に乗るしかない!ぜひとも実現してほしい区間の一つである。

こんな新幹線構想もあった

<房総新幹線 東京―安房鴨川間>

かつて、東京から羽田空港付近、東京湾と木更津付近を突っ切り安房鴨川までを直線的に結ぶ新幹線構想があった。そんなの妄想新幹線だとか、筆者の頭が暴走新幹線とか言われそうだが、1969年に計画された国の「新全国総合開発計画」で正式に構想されていた路線である。

現在、東京―安房鴨川間は京葉線、外房線経由で132.5km、運賃は2310円。特急わかしおの自由席特急料金は1360円で合計3670円、所要時間は2時間弱だ。

これが新幹線だとどうか。東京から羽田空港までは「JR羽田アクセス線」の図面を参考にすると16.5km程度。羽田空港からはアクアラインに並走する形で東京湾を突っ切り、そのあと内房線と巌根駅付近で交差。久留里線の沿線を走り安房鴨川に至る。巌根から安房鴨川まで約40km。合計65〜70km程度と考えられる。

すると運賃は1170円と今の半額以下、新幹線特急料金は1870円で合計3040円となる。現在の在来線運賃に730円の追加で済み、特急より630円も安い。所要時間も40分程度で済むのではないか。千葉県の森田知事は成田―羽田間にリニアを誘致するよりも房総新幹線を誘致してはいかがだろうか。

<房総新幹線 東京―木更津(巌根)間>

木更津まででも開通すれば大きな料金メリットがあっただろう。現在は京葉線・内房線経由で74.3km、運賃1340円。だが、上記ルートの新幹線なら東京―巌根間が約37km、巌根から内房線に乗り換えて木更津まで3.8kmを足して約41kmで770円となる計算だ。新幹線特急料金880円を足しても1650円。現在の運賃の310円増で新幹線が利用できただろう。

いかがだったであろうか。新幹線の開業でこれだけ運賃が安くなる可能性があるということは、いかに在来線が(建設当時の事情はあるにせよ)カーブや迂回の多いルートを走っているケースが多いか、またそれをショートカットできるからこそ新幹線には価値があることを思い知らされるのではないだろうか。今後の新幹線整備が楽しみである。

北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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