「参加者半数感染」夏のキャンプ感染対策の穴 陰性証明、消毒や距離の確保だけでは足りない
しかし、スタッフには布マスクの着用が義務づけられる一方で、参加者は着用を義務づけられず、建物の換気のために窓やドアが開けられることもなかった。参加者はキャビンに宿泊し、1棟につき平均して15人が滞在した。
屋外のほか、屋内でも行われたキャンプ活動には「元気に歌ったり声援を送ったりする」ものが含まれており、これがウイルスの拡散を加速させた可能性があると報告書は述べている。
常時マスクをつけ、距離を保つのは困難
マラニ氏は、大規模イベントの前に陰性証明の提出を求めたとしても感染防止効果には限界のあることが今回のケースではっきりした、と指摘する。
「検査で陰性になったからといってつねに安全であるとは限らない。個々人が感染防止策をしっかりと守る必要があるということだ。ところが、幼稚園から高校、大学のキャンパスといった若い人たちが集まる場所では感染防止策を徹底するのが難しい」(マラニ氏)
マスクの常時着用が現実的でないことも問題を難しくしている、と同氏は話す。「スタッフがキャンプ参加者の近くでマスクをしていたとしても、夜間に宿舎で過ごしているときにマスクをしていなかった可能性は十分に考えられる。なぜなら、現実とはそういうものだから」とマラニ氏。「つねに他人と距離をとってマスクをし続けるというのは自然なことではなく、大変な努力が必要となる」。
イスラエルのエルサレムにある高校では5月下旬に対面授業が再開されたが、その10日後に集団感染が発生した。最近の調査によると、最終的には生徒の13%、職員の16%がウイルスに感染していた。
生徒にはマスクの着用、ソーシャルディスタンス(社会的な距離)の確保が求められていたが、1つの教室に最大38人もの生徒が入る密な環境では距離の確保は不可能だったと調査は結論づけている。エアコンの使用もウイルスの拡散に拍車をかけた可能性があるという。
(執筆:Roni Caryn Rabin)
(C)2020 The New York Times News Services
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