「参加者半数感染」夏のキャンプ感染対策の穴 陰性証明、消毒や距離の確保だけでは足りない
アメリカでは新学期が近づき、大学を含む学校の運営責任者は生徒・学生の安全をどう確保するのかという難しい問題に直面している。そうした中、ジョージア州の合宿キャンプで発生した新型コロナウイルスの集団感染は、安全確保にさらなる懸念を投げかけている。
このキャンプでは複数の感染防止策が講じられていたものの、マスクの着用までは義務づけられていなかった。アメリカ疾病対策センター(CDC)の7月31日の報告によると、ウイルスは約600人のキャンプ参加者と指導員の一団に広がった。
なんと半分近くが感染
スタッフと指導員がキャンプ場に集まったのは6月下旬。このオリエンテーションから1週間とたたずして10代の指導員1人が悪寒を訴え、帰宅した。
CDCはキャンプ場の名前を明かしていないが、参加者は翌日から順次帰宅を開始。キャンプ場は数日後に閉鎖された。その頃までには、CDCが検査結果を確認できた344人のキャンプ参加者とスタッフの76%がウイルスに感染していた。キャンプ場にいた人たちの半数近くが感染した計算だ。
ジョンズ・ホプキンス公衆衛生大学院の感染症専門家、ケイトリン・リバーズ助教授は、学校や保育現場の集団感染に関する情報はこれまでにほとんどなく、今回の報告は注目に値する、と話す。
「参加者のほとんどが子どもであっても、人が多く集まる場所では大規模な集団感染が起こりうることが今回の研究で裏付けられた」(リバーズ氏)というわけだ。
リバーズ氏はこうも指摘する。「キャンプに参加していた子どもたちは、わずか数日一緒に過ごしただけでここまで大量に感染した。この事実は、対面学習を再開する学校において、いかに感染防止策が重要であるかを明確に示している」。