15歳CEOが日本を変える? 起業始めたデジタル・スーパーキッズたち

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そもそも家より外にいることが多かった。バレエ、ピアノと何でも自分からやりたがり、取り組む集中力もすさまじかった。朝ピアノの練習を始めると、昼食も食べずに弾き続けた。パズルをしても、折り紙をやっても同じように集中した。デジタルとは縁遠い、アナログな幼少期を送ったのだ。

転機は小学2年生。父・明彦さん(44)の海外転勤によりアジア圏で暮らすように。PCソフトで英会話を覚え、3年生でWEBサイトを作った。4年生から住んだ米・ニューヨークでは現地の小学校へ。10歳の誕生日にiMac、クリスマスにiPhoneを両親にプレゼントしてもらった。6年生になると生徒全員にノートパソコンが配布され、各々に学校ドメインのメールアドレスが与えられた。連絡、宿題はすべてサイトから。学習面のサポートも教師から細かくメールで来た。

中学入学を機に帰国。受験を突破し都内の中高一貫校へ入るも、授業スタイルなど環境の違いにがく然とした。日本では教師が黒板に書き一方的に情報を伝えるが、米国では一人ひとりの解釈をITで共有しディスカッションする。授業中盛んに挙手し議論を深めようとするたび、自分が浮いている感覚を味わった。2年からインターナショナルスクールに転校した。

「でも、日本の学校を経験できてよかったと思う。両方知っているのは強みになる」

高校やめ留学先で社長

海外での経験を日本で生かす10代起業家もいれば、これから飛び出す人もいる。

三上洋一郎さん(16=留学準備中)
オフィスに初めて訪れた母・ひろ子さんと三上さん(撮影:山本倫子)

GNEX代表取締役の三上洋一郎さん(16)は、中高生が中高生のプロジェクト支援を行う「Bridge Camp」を仲間10人と立ち上げた。東京や秋田、中にはアメリカなど世界中からコンタクトがあった五つのプロジェクトを進めている。

例えば、中高生が物事を実現するうえで入手しにくい資金、資材及び場所の支援提供を中心に事業展開。利用にあたっての手数料は基本的に無料とし、コストについては中高生にアプローチしたい企業向けマーケティングやリクルーティングの機会を用意し、スポンサー料を募る。開始するにあたり、周囲の高校生500人に地道に調査し手応えを得たという。

小学3年生から独学でプログラミングのスキルを磨いてきた。私立の中高一貫校で4年間過ごしたものの「残りの2年間をもっと有意義なものにしたい」と今春退学し、留学準備中だ。社長業は留学先でそのまま続ける。

「(社長業は)難しい。周囲に迷惑かけているので、何とか挽回したいです」

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