26歳で「年商1億」を達成した大工の意外な副業 若手が少なく後継者不足が問題になっている

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手槌真吾さんは、大工として23歳で独立し、41歳の現在は自らの工務店「DDD inc.」の代表を務め、加えて2軒のシェアハウスの運営も行う(写真:尾形文繁撮影)

需要が高いのに収入が低い仕事の特徴は、1つの案件に対して関わるプレーヤーが多すぎること。そして、プレーヤー間での賃金の不均衡が大きいことだ。だとすれば、1人で多くの分野を兼ねることができれば、収入増が狙えるはずだ。

「年齢が上の大工さんたちは、職人気質で大工一本という人が多い。そこは変化が必要なところかもしれません。『現場監督や営業もできる"スーパー大工”になれば、チャンスが広がるし稼げるようになるよ』と、若い子を育てるときには伝えています」(手槌さん)

営業力アップの秘訣は副業にあり?

多くの分野を兼ねれば収入がアップすることは、他の業種にもいえる。とはいえわかってはいても、なかなか難しいのが実情だ。大工の場合なら、「建設現場での経験が役立つ現場監督はまだしも、営業は畑違いだ」という声も、当然あるだろう。

手槌さんが運営する昔ながらの古民家を改造したシェアハウス。立地の良さとクリエイターが集う環境が人気だ。ガレージは工務店の作業所にもなっている(写真:尾形文繁撮影)

多くの分野で個人事業主が課題に感じるのが、いかにして自分を売り込むかということ。営業が弱いがゆえに仕事が立ち行かない例は多い。

手槌さんは事業の武器となる営業の”飛び道具”を持っていた。それが「意外な副業」だ。

「本業のほかにも軸を持っていたほうがよいと思ったのは、20代の経験からです。23歳で独立した頃に仕事が増えたきっかけが、音楽をやっていたこと。僕は中学生から20代まで、ずっと趣味で音楽をやっていて、特に20代の頃に組んでいたアフリカン・ジャズ・ファンクのバンドは、地元姫路では知られた存在でした。

イベントやライブをするなかで知り合ったショップや美容室のオーナーに、大工仕事を頼まれるようになり、工務店としての仕事も順調に増えていったのです。その経験があったので、東京で独立するときにも、人脈が広がるような副業を持ってみようと思いました」(手槌さん)

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