――下社長がコロナ禍で強く感じたことは何ですか?
いままでみんなが当たり前だと思ってきた「物が届く」ことの大事さ、ありがたさが、世の中に再認識されたと思う。今回のコロナ騒動を経て、物流を支えるという当社の果たすべき役割、責務の重要性を改めて痛感した。そのためにできることは何でもやっていく。
食品・飲料メーカーや運送会社と協力して2019年12月から始めた幹線輸送スキームの試みもその1つだ。
これはドライバー不足が叫ばれる中で、荷主や運送業者、倉庫会社などがみんなで知恵を出し合い、効率的な都市間輸送の仕組みを考えようというプロジェクト。東京ー大阪間の幹線輸送において、大きさや重量の異なる荷物を大型トラック2台分の連結トラックで計画的に混載して運び、改善点などを洗い出している。
プラットフォーマーなんて考えていない
――トラックメーカーの日野がそうしたプロジェクトの音頭を取ることで、どんなメリットがあるのですか。
日野はスキーム作りを率先してプラットフォーマーになろうとしているといった報道もあったが、そんな大それたことはまったく考えていない。
あくまで、お客さんである運送業界が抱える課題の解決に役立つことが目的だ。その結果として、「日野と付き合っておけば役に立つ」と感じてもらい、多少でもうちからの車両購入比率を上げてもらえるなら、もちろんそれは嬉しいが(笑)。
――ポストコロナの成長戦略について聞かせてください。
社長就任翌年の2018年10月に、2025年度の大きな目標として、世界販売30万台(2017年度実績は18万台)、営業利益率10%(同4.4%)という数値を設定した。今年度(2021年3月期)はコロナの影響で非常に厳しい数値になるが、2025年度の目指すべき姿として中計の目標を変えるつもりはない。
重点市場として台数を伸ばしていくのは、引き続きインドネシア、タイを中心とする東南アジアと北米だ。特にインドネシアは、人口増加などによる経済成長で今後も中長期的な市場の拡大が期待でき、台数をさらに伸ばせる余地が十分ある。タイでももっと販売台数を増やす。
──インドネシアやタイは日系トラックメーカーが得意とする市場ですが、中国勢も安さを武器に虎視眈々とシェア奪取を狙っています。
今の勢力図を言うと、インドネシアは日野と三菱ふそう、いすゞ自動車の日系3社による寡占状態で、タイは当社といすゞで9割ぐらいのシェアを握っている。中国勢の脅威はまだそれほど感じていない。
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