川崎重工、「ロボットPCR検査」に込めた壮大計画 20年3月期は無配、コロナ後の回復をどう描く

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――2020年3月期は無配になりました。

2021年3月期もなかなか厳しい状態だ。だが、このままではやはりわれわれの株を買って応援してくれる皆さんに申し訳ない。

単に「待ち」の姿勢ではいけないと思っている。状況を良くするための動きを取っていくことが大事だ。仮に2020年の業績が悪くても、2021年以降の回復のスピードが変わってくる。9月くらいまでは急激に変わることは難しいかもしれないが、われわれの技術を生かした提案をしていきたい。

ロボット使い、PCR検査を効率化

――具体的には。

例えば、ロボットを使ったPCR検査の支援だ。(医療機器大手の)シスメックスとの合弁会社「メディカロイド」がPCR検査を自動でできるロボットを開発している。

はしもと・やすひこ/1957年生まれ、兵庫県出身。東京大学工学部卒業後、1981年川崎重工業入社。ロボット設計部門に長く関わり、半導体製造装置用ロボット事業などを立ち上げる。精密機械・ロボットカンパニープレジデントなどを経て2020年6月から現職(撮影:梅谷秀司)

医療従事者を感染リスクから解放できるうえ、検査の時間を大幅に短縮することができる。今(のPCR検査)は結果が出るのが4時間以上だったり、翌日になったりするが、われわれは80分以内で検査結果を出せるよう目指している。

このシステムを空港に置けば、いつもより2時間早く空港に行って検査を行い、陰性だと確認すれば飛行機に乗ることができる。コンサート会場や野球スタジアムでも可能だ。1万円を切るようなコストでこうしたことが可能になれば、経済を止めずに済む場面も多くなるだろう。

――川崎重工のビジネスと、どのように関係してくるのでしょう。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

われわれとして一番助かるのは航空機の部門だ。飛行機が飛ぶようになるとJALやANAといった航空会社がみんな助かる。ボーイングなどの航空機メーカーやわれわれのような(部品)メーカーも助かるわけだ。つまり、われわれがやっていることは社会貢献でもあるし、自分たちの事業を助けることにもなっている。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「リモート化の具体的策」「新社長として取り組むこと」「さまざまな事業でシナジーをどう生み出すか」についても語っている。
高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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