
ロボットを使ってPCR検査を支援する(写真:メディカロイド)
川崎重工業は鉄道車両や航空機部品、造船、バイクなど「移動」にかかわる重厚長大産業を多く抱える。新型コロナウイルスによってリモートワークが広がり、人の移動が少なくなる中、近年稼ぎ頭だった航空機関連へのダメージは大きい。
2021年3月期は、リーマンショックの影響を受けた2010年3月期以来、11年ぶりの最終赤字が現実味を帯びる。
折しも6月に新社長に就任した橋本康彦氏は、同社が近年強化を進めてきたロボット部門出身だ。コロナ禍の困難な経営環境において、同社をどのように舵取りしていくのか。橋本新社長に尋ねた。
バイクの需要が喚起された
――前社長の金花芳則氏は5月、「(2021年3月期は)全社で最終赤字の可能性がある」と話しました。特に航空機関連は冷え込みが深刻です。
航空機に関しては、5月の決算発表時よりもさらに厳しい状況になっている。新型コロナが収束しないために、国際線はほとんど動いていない。当初思っていたよりも厳しさは増している。
ロボットも半導体関連などこれから伸びていく部分もあるが、自動車や中小企業関連はこの1年、かなり厳しいことになるのは間違いない。
プラントは事業としてはそれほど影響を受けていないが、いかんせん商談が進まない。案件が消滅しなくても商談の時期がずれると、今年度の売り上げにならない。
ただ、バイクはヨーロッパやアメリカで店舗が案外早くに再開した。3~5月はバイクが一番売れる時期。当然影響も大きいだろうと覚悟していたが、機種によっては2019年より売れているものもあった。
――バイクはなぜ持ちこたえたのでしょう。
みんな動きたくて、我慢できないんだろうと思う。その点、バイクは自然の中を3密ではない形で楽しめる。どこへも行けないことの反動が、バイクの需要を喚起している部分があったのだろう。
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