お目見えしたフリーゲージ車両の実力と課題 期待高まる長崎新幹線

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車体の一部にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使用している

今回のFGTでは、従来の3両編成から4両編成にして主要機器を各車両に分散したこと、主要機器の小型軽量化を進めたこと、車体の一部に材質の軽いCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使用するなどの対策を施して、軸重の軽量化に努めた。

こうした改善策により、FGT2次車で1両あたり50トンだった重量は、今回の3次車では同46トンまで改善した。ちなみに東海道・山陽新幹線N700系の1両あたり平均重量は43トン、東北新幹線E5系は同45トンであり、重量でみれば、ほかの新幹線車両と遜色ない水準に近づいたといえる。

全国に拡がるFGT構想

社内のシートもJR九州のカラーであるレッド

だが、まだ最高速度の課題は残っている。現在、FGTの導入が検討されているのは、長崎ルートと北陸新幹線の敦賀―新大阪間。これ以外でも山陽新幹線を経由した四国新幹線や、北海道新幹線を経由した道東延伸など、FGT乗り入れ構想は全国に拡がっている。

ほかの新幹線区間も走れるように時速300~320キロメートルへの速度向上ができれば、それに越したことはないが、「今回のFGTは九州新幹線800系の先頭形状の断面積の変化率と同じになるように設計している」(鉄道・運輸機構)という。800系の営業最高速度は整備新幹線区間に合わせた時速260キロメートルで、設計上も時速300キロメートル運転は想定していない。つまり、今回製造された車両で速度向上試験を行うのは厳しいかもしれない。

「まずは270キロメートル走行をしっかり検証する」というのが国土交通省の方針だ。だが、今回の試験目的である耐久性の検証がクリアされた次の段階では、速度向上も視野に入れるべきだ。そうなれば、FGTの持ち味である汎用性が最大限に発揮されることになる。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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