突然「内定取り消された」学生が知るべき対応策 2021年卒の学生の間には不安が広がっている

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ここまでは、内定を取り消された学生側の視点から解説をしてきましたが、未曾有の新型コロナウイルスの影響で、企業側も内定取り消しを行うのは苦渋の決断であったと考えられます。1企業の努力だけでは限界があります。

2020年新卒者については、入社直後の休業から雇用調整助成金の対象とするなど、一定の対策がなされました。

21年卒の内定者へも公的補償を

一方で、新型コロナウイルスの影響が長期に及ぶ中、2021年新卒入社予定者には、配慮の要請は国から出ているものの、金銭面での具体的な公的補償はまだ提示されていません。

先を見通すことが困難な中、少なからずの企業が内定を維持することに苦慮していますので、予定通り内定者を入社させた場合には一定の助成金を支給するとか、経営上の事由で新卒入社者の賃金を支払うことが難しくなった場合、国が賃金の一定割合を補助するといったような支援策も考えられるのではないでしょうか。

近年は採用の多様化が進んでいるとはいえ、まだまだ我が国には、新卒一括採用の文化が残っています。新卒時に内定を取り消され、社会人としてのスタートを切れなかった場合には、その後のキャリア形成に大きな影響が出てしまう可能性があります。国としても、2021年新卒者の内定を維持するための施策を積極的に検討して頂きたいものです。

とはいえ、新卒者の学生にとっても、現在の内定を守り抜くことが唯一のゴールではありません。

会社に入社することは、あくまでも社会人としての出発点です。何とか入社できたとしても、入社をして直ちに休業になってしまったり、昇給や賞与が無い状況が当面続くことも考えられます。

内定取り消しに対して訴訟で立ち向かい、長い時間をかけて勝訴判決を得たとしても、会社の資金繰りが逼迫していて資力が無ければ、慰謝料などの支払いを受けることができない可能性もあります。

万一、自分が内定取り消しに直面した場合、まずは、自分の置かれている状況や、内定先の会社の状況を踏まえ、冷静に現状分析をしてください。そのうえで、企業側の提案に沿って内定取り消しを受け入れるのか、内定取り消しを受け入れる条件交渉をするのか、それとも内定取り消し無効を裁判等で争うのか、納得のいく道に進んで頂きたいと思います。

榊 裕葵 社会保険労務士、CFP

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さかき ゆうき / Yuki Sakaki

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。会社員時代の経験も生かしながら、経営分析に強い社労士として顧問先の支援や執筆活動に従事している。

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