中国の「揺さぶり」に、屈しない法(上) 商船三井の「次」は避けられるのか

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2011年に確定した民事事件が、3年以上経過した「今」、なぜ差し押さえをする必要があったのだろうか。実は、問題が表面化する 前の4月上旬、米国のヘーゲル米国防長官は、中国を訪問した際、「日米安保条約第5条に定められた、対日防衛に関する義務は果たさなければならない」と語っていた。すなわち尖閣諸島に関して、オバマ大統領の日本訪問時には、中国をけん制するメッセージが発表される可能性を、中国側は当然ながら察知していたとみられる。

予想通り、オバマ米大統領は4月24日の日米首脳会談後の記者会見で、尖閣諸島に対する日米安全保障条約の適用を明言した。これに対して、翌日25日には習近平政権はこのことに強く反発。尖閣諸島を巡って絶対に譲歩しない決意を強調した。

「オバマ大統領は、尖閣諸島に関して以前からの米国の考え方を表明したにすぎない」という見方もある。私は外交の専門家ではないので、深く立ち入らないが、差し押さえの時期を考えると、尖閣問題が関係しているという見方も成り立つ。差し押さえの後、菅官房長官は4月21日の記者会見で「極めて遺憾だ。1972年の日中共同声明に示された国交正常化の精神を根底から揺るがしかねない」と批判した。

中国は、ほくそ笑んでいる?

ただ、私からいわせれば「中国でビジネスを展開する日本企業に、萎縮効果を生むことにもなりかねない。深く憂慮し、中国側が適切な対応を取るよう強く期待している」と、いつもの日本的な「ゆるい調子」の域を出なかった。翌日、安倍首相も、衆院総務委員会で「政府としては、外交ルートを通じて遺憾の意を中国側に伝達し、中国側が適切な対応をとるよう、強く求めております」と述べたにとどまった。「米国から自制を求められていたから」という見方もあるだろう。

権力基盤が盤石でないオバマ大統領の日本訪問を見計らったかのように、日本の民間船舶を差し押さえした中国のやり方には、子供っぽい雰囲気もある。だが、騒いでいる日本のマスコミなどの反応に、中国側としては「ほくそ笑んでいる」のではないだろうか?

なぜか。実はここまでは「やったもの勝ち」であり、中国は何も失うものはないからである。日本側には「そこまでするのか?」といった意識が強いかもしれない。だが、中国側にとっては「やって損することはないから、当たり前だ」くらいの感覚ではないか。ここらへんが、日中双方の感覚や、文化の違うところであると思う。

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