営業デビュー、新型新幹線「N700S」の乗り心地

颯爽と運転開始、車内は一段と落ち着き増す

6月13日の報道公開は、4月7日に計画されていた浜松工場での量産車車内公開が新型コロナウイルス感染症の影響で実現しなかったため、初めて車内を披露する機会として車内設備の説明に重点が置かれた。

照明は、LEDの間接照明により天井の左右から大型曲面パネルを照らすが、客室全体に光が均一に注ぎ、落ち着いた雰囲気となるよう配慮されている。そのため天井パネルは一つの弧ではなく、翼を広げたようなV字となり、中央部に折れ線が通る。複数のパネルを並べた際に折れ線の微妙なズレが視覚のノイズとならないよう、パネル同士の間にスリットが設けられている。また、このLED間接照明は駅停車前に調光制御により荷棚を明るく照らすことで乗客の意識を荷棚に導き、置き忘れ防止をサポートする。

空調吹出口は荷棚下から側パネルの裏側へと隠し、荷棚の縁の帯も目立たない色としている。天井に設置していたスピーカーも両サイドに移した。天井部分の視覚的ノイズを減らすためで、車内空間を広く感じさせる。案内表示は大型液晶ディスプレイにより、より鮮明な表示とした。

照明の色が暖かいグリーン車のコンセプトは「ゆとりある空間と個別感」だ。荷棚の存在を感じさせない広がりのある空間と、包み込まれるような個別空間を両立させるデザインとした。側パネルが座席列ごとに設けられている。

改善されたリクライニングシート

座席は、シンクロナイズド・コンフォートシートと称して、リクライニング時に座面も連動して深く沈み込む揺りかご式。座り心地を格段に改善したと強調する根拠は、回転の中心を従来の太腿の付け根付近から踝(くるぶし)付近に移したことで、背を深く倒す際にも太腿の裏側が圧迫されたり小柄な人には足先が浮くことが解消され、常に疲れにくい姿勢が保持されることになった。フットレストは面積を拡大し、座席肩部に設置されている読書灯もN700Aより照射範囲が広く、A3判全面を照らす。インアームテーブルや物入れの網袋も大きくした。

普通車の客室。窓上の照明はないがグリーン車同様に窓回りが個別のパネルとなっており空調吹き出し口も側パ ネルに隠されている (写真:山下大佑)

普通車は「機能的で快適な空間」をコンセプトとする。色調は異なるが、グリーン車同様にLEDの間接照明であり、客室全体に光が降り注ぐ。

座席のリクライニングは、N700Aまでは背もたれのみが動作していたが、グリーン車のように臀部が沈む構造に進化した。ただ、グリーン車のリクライニング機構はエアシリンダを用いるが、重量増を避けるため普通車は用いていない。そこでリクライニングを元に戻す際に座面後部を持ち上げるには座席自体の徹底した軽量化が求められた。そのため、N700Sでは座布団を構造から見直している。

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