営業デビュー、新型新幹線「N700S」の乗り心地

颯爽と運転開始、車内は一段と落ち着き増す

グリーン車ともども背もたれの背面に荷物掛けのフックを設置、側窓部のテーブルも形状を変更し、これまでカーテンを下げた状態ではペットボトルがはみ出してしまったが、カーテンを下げた状態でも使えるよう改良している。

温もりある光に包まれたグリーン車。側のパネルは座席の列ごとに設けられ個別感を重視 写真:山下大祐)

また、座席表地は濡れると柄が変化して見える特殊なものを採用、乗客自身が濡れに気づきやすくしている。コンセントは全席設置であり、出入りの妨げにならないよう、設置場所は肘掛先端としている。無料Wi-Fiも受け継いだ。このように細かな改良が随所に隠されている。

客室内のカメラは60台追加

セキュリティーの向上を目的とする改良もポイントに挙げられた。客室内の防犯カメラは、N700Aまでは妻部に2台設置していたが、N700Sでは16両の客室全体で60台を追加し、天井中央部にも設けたが、これらも視覚のノイズとならないようにパネルの継ぎ目のスリットの中に収められている。

5 月に開始された特大荷物スペースつき座席のサービスは当面は客室端部を充てる(写真:山下大祐)

防犯カメラの画像は指令所に自動で転送される。また、車端のデッキに設置していた緊急時通話装置は客室内の両端部への設置とされた。これも乗務員だけでなく指令所係員とも通じ、タイムリーな連絡、指令員から個別の列車への車内放送が可能になり、より迅速な初動対応を可能にしている。

東海道新幹線では、山陽・九州新幹線とともに5月20日から訪日観光客の増加に備えて「特大荷物スペースつき座席」のサービスを開始したが、そうした荷物への対応として1・11号車を除く奇数号車のデッキ部に荷物コーナーも新設した。特大荷物の指定スペースは、現状では客室端部の座席の背後のみとしているが、これは、共通運用となるN700Aの荷物置き場整備がこれからであるためで、その改造を終える2023年度からは、デッキ部の荷物置き場も特大荷物コーナーとして扱われる。

一方、環境への取り組みとして、アルミ部材を新幹線車両から新幹線車両へ「水平リサイクル」するよう対応した点についても、特段の解説があった。普通車の荷棚や荷棚下パネルにリサイクルアルミが利用されている。

すなわち従来のアルミリサイクル手法は、部位ごとに異なる性質のアルミ合金を一緒に混ぜた状態でスクラップしていた。そのため再生材は添加物が多くなり、ややダウングレードした鋳物やダイキャストとして、別の用途において再利用を図る「カスケードリサイクル」であった。

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