営業デビュー、新型新幹線「N700S」の乗り心地

颯爽と運転開始、車内は一段と落ち着き増す

N700Sの青帯は一段多く重ねる形で運転台窓付近まで鋭く延びる(写真:久保田 敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2020年9月号「東京圏再発見」を再構成した記事を掲載します。

JR東海が、東海道新幹線の次世代車両として開発してきたN700Sが、7月1日から予定どおり営業運転をスタートさせた。初列車は東京6時発の「のぞみ1号」博多行きで、続く6時15分発「のぞみ3号」にも充当し、両列車が並んだ14・15番線の先頭1号車付近では出発式も行われた。上りの初列車は博多11時39分発の「のぞみ26号」だった。

これに先立つ6月13日、営業用に用意された「量産車」による本線走行と車内の報道向け公開が行われた。その際、N700Sは「安全性・安定性、快適性、環境面など最高の性能を備えた、東海道新幹線の新しい時代を象徴する車両」と紹介され、JR東海は「N700系以来13年ぶりに送り出した東海道新幹線のフルモデルチェンジ車両」と位置付ける。

N700Aの限界から開発されたN700S

JR東海によれば、2007年に登場したN700系から、それを進化させた2013年以後のN700Aへと、連綿と技術開発の成果を反映させてきたが、床下スペースや重量、装置の機能の拡張性に限界を迎え、N700系のプラットフォームではさらなる成果を収められなくなった。そこで、今後も新技術を継続的に導入してゆくために、次なる新型車両が開発された。その確認試験車として製造されたJ0編成により2018年3月から走行試験を積み重ね、本年、量産車が登場した。N700Sの「S」は、これまでのN700系シリーズでも「最高の」車両を意味するSupreme(スプリーム)に由来する。

東海道新幹線の証として白に青帯は変わらず受け継ぐものの、その青帯は一段多く重ねる形で運転台窓付近まで鋭く延ばされ、それが「S」を抽象的に表現する。先頭形状はエアロダブルウィング形と称するものから「デュアルスプリームウィング形」に変更された。空力特性改善のシミュレーションの成果で、不断のコンピューター能力向上の賜物である。そのシミュレーション結果に、デザイナーによるチューニングを加えて最終形状が決定された。両脇へと穏やかに下がるN700系の形状から、峰を作ってボリューム感を増し、その峰にビードを通してラインを強調している。両サイドを盛り上げてエッジを立てた造形は、空気の整流作用によりトンネル微気圧波の影響や走行抵抗、車外騒音も抑え、最後部においては気流の渦巻きを解消する。

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