オタクグッズの「見える収納」という意外な金脈 チケットや缶バッジなどの専用収納用品人気

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それにしても、なぜ推し活サポートグッズを開発しようと思ったのか。同社 商品開発部 商品開発グループの領家裕子氏は次のように説明する。

「100円ショップ向け商品の開発を行うなかで『ユーザーさんに“刺さる”商品を作るならニッチなところに着手したほうがいいのではないか』と考え、購買意欲が高いオタク商材に注目しました。クリアファイルなどPP(ポリプロピレン)製品はもともと得意な商材ということもあり、まずはカバー類からと考え、2017年11月に缶バッチカバーを発売しました」

購買層の8〜9割は10〜30代の女性

缶バッチカバーシリーズは現在までに約150万個(10枚入、5サイズ展開)を出荷する大ヒット商品となった。これを皮切りに、応援うちわやキーホルダーのカバー、そのカバーをデコレーションするシール、チケットやブロマイド用のファイルリフィール、コンサートの演出で使われる銀テ(銀テープ)収納シリーズなど、現在69アイテムを発売。2017年11月から現在までの「コレサポ」シリーズ累計としては約500万個以上を出荷している。

缶バッジシリーズは累計150万個を売り上げたヒット商品(撮影:今井 康一)

購買層の8〜9割は10代〜30代の女性。もともと100円ショップの顧客層は女性が多いということもあるが、コレクションにカバーを付けてきれいに保存し他人に見せたいと考えるのも女性が多いことが理由のようだ。 これだけヒットした背景の1つには、オタクカルチャーの変化がある。

「2010年ごろから、女性の間でオタクカルチャーは“隠れて楽しむもの”から“カジュアルなファッション”へと変わってきましたね。2011年ごろからは、キャラクターグッズでバッグをデコレーションする『痛バッグ』と呼ばれるカルチャーが注目され始めました」(領家氏)

例えば、商業施設を展開する丸井グループは2010年から店舗でアニメ関連イベントを開催し、2016年にはアニメ事業部を発足するなど、オタクカルチャーのメジャー化には大手企業も目をつけている。

こうしてオタクカルチャーを楽しむ層が広がった上に、同じグッズを何個も買う「無限回収」というオタク用語が象徴するように、1人ひとりの購買意欲も旺盛だ。

収納グッズにはるシールもある。左の缶バッジ入れはバッグなどにつけて楽しむことも(撮影: 今井 康一)

若年層から大人の女性を中心に中心に人気となっている男性声優18人によるキャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』は、アパレル、香水、ぬいぐるみなど約300アイテムのグッズが発売され、経済効果は100億円超を達成したとして「日本商品化権大賞2019」(日本商品化権協会主催)審査員特別賞を受賞している。また、アイドル市場はユーザー消費金額ベースで、2018年度比6.3%増の2550億円に拡大すると予測されている(矢野経済研究所調べ)。

グッズが増えればその収納用品も必要になる。だが、ファン心理としてコンテンツやグッズにお金をかけたいが、収納用品の出費は最小限に抑えたい。そのため、かつては100円ショップのクリアファイルなど既存製品を独自にアレンジして使っていたという。

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