オタクグッズの「見える収納」という意外な金脈 チケットや缶バッジなどの専用収納用品人気

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これはブランディングの意味もある。100円ショップの商品はショップ名で語られることが多く、メーカー名やブランド名で話題に上がることは少ない。

「コレサポの○○と名指しで買っていただけるようなものづくりを意識して行っています。そのためにもデザイン力を鍛え、女性が手にとりやすい商品になるよう力を入れています。私も含め開発チームも推し活が好きなので、オタク女子から『ハピラさんはわかっている』と思われるようなものづくりをしている自信はあります」(領家氏)

競合他社と「推し活フェス」開催

エンドユーザーとの接点を増やすことにも積極的だ。ハピラでは2018年にコミックマーケットに出展。2019年には「推し活フェス」というイベントを主催した。

推し活フェスでは自社だけでなく、競合5社にも声をかけ物販を行ったほか、ぬいぐるみを中心としたグッズをさまざまな背景で撮影できる「ぬい撮りブース」、推し色のクリームソーダをぬいぐるみ用のミニチュアドリンクとセットで提供する「推しカフェ」などを提供し、約500人を動員した。

「競合他社と少ない場を取り合うのではなく、ユーザーのことを一番に考えて楽しく盛り上げていきたい。そして、まだ推し活の楽しさを知らない人にも『こういう楽しみ方があるんだ』と知ってもらうことができれば、業界全体にとって大きなメリットがあると思います」(領家氏)

実際、コレサポシリーズは大衆演劇ファンや鉄道ファンなど当初は想定していなかった層の利用もあるという。まだ自分の趣味が「推し活である」と気づいていない潜在オタクも多い。

「アニメ専門店と違って100円ショップでの販売なので、コアな人はもちろん、まだオタクに抵抗がある人やライトな人も手に取りやすい。販売を始めてこの3年間でも大きな変化を感じましたが、今後さらに変化していくジャンルではないでしょうか」と、領家氏は見る。

新型コロナウイルスの影響の影響については、「イベントやコンサートが中止になった分、ファンの方は『グッズを通販で買って推しを応援したい』という気持ちになっており、缶バッチカバーなどは売り上げには特段変化はありません」(領家氏)という。

3月半ばから「推し活フェス」の公式ツイッターでは、「おうちで推し活応援企画」と題し、ぬいぐるみやアクリルスタンドなど、グッズを撮影するときに使える背景のネットプリント配布企画を実施。配布開始から1週間経たないうちに300以上のリツイートがあった。コロナの影響が長引く中で、自宅で楽しめる娯楽コンテンツの需要も高まっている。新たな“オタク”が増え、推し活サポートグッズの需要もますます高まりそうだ。

安楽 由紀子 フリーランスライター

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あんらく ゆきこ / Yukiko Anraku

1973年、千葉県生まれ。国際基督教大学卒業後、編集プロダクションを経てフリーに。芸能人、スポーツ選手、企業家へのインタビューを多数行う。

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