オタクグッズの「見える収納」という意外な金脈 チケットや缶バッジなどの専用収納用品人気

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100円の折りたたみ傘収納袋にペンライトを収納するという思わぬアイデアも生まれたほどだ。「100円ショップで専用カバーを販売してくれたら⋯⋯」という潜在的なニーズは高まっていた。こうした要素が重なり合い、コレサポシリーズのヒットにつながった。

SNSとの親和性も高く、口コミでの宣伝効果が高いことも特徴的だ。ハピラが缶バッジカバーを発売した当時、告知ツイートをしたところわずか1日で約5000リツイートされ、翌日の受注が生産数の3倍になったという。「モノが売れない時代というけれど、このジャンルは強い」と領家氏は語る。

メルカリ出品に使えるグッズも

かつて商品開発のヒントは市場調査や街に出て足で探すことが基本だったが、推し活サポートグッズについてはSNSがアイデアの源泉。購入したグッズの写真、美しく整理収納した写真、オタクのオフ会の写真⋯⋯数々の写真からニーズを見抜く。

「さまざまな年代の子のSNSを見ていると、ヒントがたくさんあります。たとえば、ブロマイドや缶バッジは多数の種類からランダムで販売されている場合が多い。だからたくさん買って、ダブったものはファン同士でトレードする。そこからグッズの交換やメルカリでの出品に便利な『ポスキット』という梱包材シリーズが生まれました」(領家氏)

梱包材というと、従来はホームセンターで販売されているような味気なく量が多いイメージがあった。ポスキットの「DVDが入る段ボールボックス」はDVDやコミックを送るのにちょうどよい小さなダンボール箱が2個セットで販売されている。「段ボールシート」はプロマイドやトレーディングカードなど折り曲げたくないものを挟めるシートで、メモリが付いているので定規がなくてもまっすぐカットできる。

「ケアマークシール」はおしゃれなデザインの「折曲厳禁」「ワレモノ注意」「水濡厳禁」シール。どれも少量で便利で簡単、そしてカワイイ。ちょっとしたことではあるが、「交換相手に喜んでもらいたい」「メルカリの評価をアップさせたい」という細かなニーズに着目した。

「オタクの活動を追っていると、こんなものがあったら便利だろうな、こんなものがあったら喜んでもらえるだろうなとどんどん枝葉が分かれて広がっていくので、まだまだ“ネタ切れ”はありません」(領家氏)

新シリーズ「推し色シリーズ」は、アイドルやキャラクターのイメージカラーである「推し色」で統一したアルバムやフラットポーチ、レターセットなどの小物。赤・青・緑・黄・紫・ピンク・オレンジ・黒の8色という豊富なカラーバリエーションが魅力となっている。

ハピラの製品はシリーズごとにパッケージデザインに統一感があり、売り場で並んだときにわかりやすい。通常、100円ショップではカバー類、ファイル、レターセットはそれぞれ別の売り場となるが、「コレサポ」「推し色シリーズ」とシリーズ化することで、ひとまとめに「推し活サポートグッズ」として売り場に置かれることに成功した。

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