久しぶりのユーロ相場上昇をどう読むべきか 米独金利差縮小に伴う見直し買いは続くのか

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縮小
久しぶりにリモートをやめて膝詰め談判を行ったが、やはりまとまらないEU首脳会議(写真:European Council)

為替市場では久々にユーロドル相場が注目を集めている。7月15日は一時1.1452ドルをつけ、3月10日以来、約4カ月ぶりに高値を更新した。7月16日時点で対ドルの変化率に着目すると、年初来でプラス2.2%、過去3カ月でプラス5.3%、過去1カ月でプラス1.4%という仕上がりになっており、4月以降の過去3カ月における動きが突出して大きいことがわかる。

この3カ月で特別な変化が起きたということはないが、アメリカとドイツの10年物国債の金利差は2月をピークとして急縮小に転じ、4月以降は平均1~1.1%ポイントとそれまでの半分で推移し、今に至っている。

出遅れのユーロはまだ上昇するか

そうした欧米金利動向にもかかわらず、ユーロは3月に1ユーロ=1.06ドル台まで下落し、4~5月の2カ月は1.08~1.10ドルのレンジで軟調な取引が続いた。しかし、6月に入ると前半の2週間で2%上昇し、1.14ドル台をつける場面が見られ始めた。その後、やや軟化する時間帯も挟みつつ、5月下旬を境としてユーロドルのレンジが1.12~1.14ドルへシフトアップした感はある。

金利差がほぼ消滅する中、「欧米金利差○○ポイントの縮小でユーロドルは△△%上昇」というストレートな関係は見出し難いが、後講釈を承知で言えば、3月~5月の局面は「欧米金利差の大幅縮小(米金利の相対的な大幅低下)にもかかわらず、ユーロドルが軟調すぎた」という印象はある。現状は、「金利差に沿った為替調整が遅れて発生している」とも言える。

1.14付近は年初来高値圏であるが、欧米金利差が縮小する前につけていた水準でもある。「金利差に見合った調整」ならば、もっと上昇して1.15~1.20のレンジに移行できるかが注目であろう。

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