日本の最低賃金「メキシコ並み」OECD25位の衝撃

給料安すぎ問題の根因「最低賃金」を上げよ

最低賃金を引き上げ、企業の「ぼったくり」を是正しなければならないといいます(撮影:尾形文繁)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、新刊『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。
今回は、日本の最低賃金が低すぎることと、その何が問題なのかを解説してもらう。

最低賃金の重要性が高まっているわけ

先週の記事(日本の労働生産性は「韓国以下」世界34位の衝撃)では、2019年の世界の労働生産性ランキングを紹介しました。日本は前年よりさらに順位を下げ、世界34位という、目を覆いたくなるような低い順位でした。経済学の基本ですが、日本の労働生産性が低い原因の1つは、最低賃金が低いことです。実は、日本の最低賃金の水準は、メキシコとあまり変わらないのです。

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近年、世界的に最低賃金の重要性が再認識されています。その理由は、経済の中心がサービス業に移り、労働市場の規制緩和も進んでいるからです。どういうことか、説明していきましょう。

国が発展し先進国になると、製造業を中心とした経済から、次第にサービス業を中心とした経済に移行します。また、生産性を高めるためにさまざまな国で労働市場の規制緩和を行っています。もちろん日本も例外ではありません。

このようにサービス業を主体とした産業構造になったり、労働市場の規制緩和が進んだりすると、企業の交渉力が強くなり、労働者の立場が弱くなることが専門家の研究で確認されています。

労使のパワーバランスが雇用側有利に傾く現象は「モノプソニー」と言われています。

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