エタノール・ハイブリッド車こそ本命だ--『ゼフィラム』を書いた楡周平氏(作家)に聞く
--テーマが、バイオエタノール燃料のハイブリッド車開発とは斬新です。
発想の原点は、さかんにCO2の削減といわれているが、CO2吸収資源に目を向けないでいいのかということにあった。COP15にしても吸収資源の保護にはまったく話が及ばない。これはナンセンス。
--吸収資源……。
南アメリカのアマゾンはじめ、手つかずの熱帯雨林を守るというのがイメージとしてはわかりやすい。ただ、そこはそれぞれの国の自治下にあり、その国も他国から「大事な資源を持っているのだから守れよ」と言われても、「何でそちらの都合に合わせて開発をやめなければいけないのか」と争いになってしまう。ことほどさように国家間のレベルでは地球規模の環境問題の解は複雑だ。
--燃料エタノールはブラジルのサトウキビ農園でつくることに。
エタノールはほぼカーボンフリー。これを燃料にしたハイブリッド車は、ある意味究極のクリーン車になる。本のタイトルにラテン語のゼロを意味する「ゼフィラム」をつけたゆえんだ。
エタノールはガソリンと互換性がある。エタノールを抽出するサトウキビ農園で使われる動力車はすべてエタノール車。電力もサトウキビのバガスという搾りかすを燃やして発電させる。リサイクルのパターンが生産工程の中で出来上がっている。
ブラジルにとっても、エタノールの生産事業が大きくなれば国の産業の柱ができる。それによる生活向上が、アマゾンの焼畑を止める。そういったサトウキビ・プラントの大きな仕組みを描けるのは、国というより企業だろう。