世界的に住宅ローンの延滞が急増しそうだ 住宅価格下落と消費不振のスパイラルも不安

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アメリカの住宅価格、住宅販売はまだ堅調だが(写真:ロイター/Mike Blake)

JPモルガンチェースでは7月からクレジットスコア(顧客の信用力評価)の下限を“プチ富裕層”レベルの700以上とし、しかも頭金を20%以上に厳格化すると、報じられている。現在の最低スコアは明示されていないが、住宅関連サイトには概ね620以上と紹介されている。新しい700というスコアは、住宅購入層に差し掛かる30代では、おおむね3割、40代でも4割強しか存在しないとみられる。

こうした厳格化はJPモルガンに限った話ではない。4月の米銀のローン担当者サーベイでは、今後「住宅ローンの条件を引き締める」という回答が急増した。特に、大口の住宅ローンとサブプライム顧客向けのローンでは顕著だ。5月以降は一層厳しくなっており、一見好調な住宅価格を冷え込ませる可能性がある。

日本も年率4~5%の価格下落はありうる

日本はどうか。東京カンテイによれば、5月の首都圏の中古マンション価格は前月比で0.7%の下落。3カ月連続の値下がりとはいえその幅は小さい。売り出し物件の値下げ率も5.5%程度と8%を超えていた2012年頃などと比べてさして高くはない。ただ、これらのデータは“販売希望”価格だ。まだ下落余地はあるだろう。

2000年以降の日本の住宅価格の下落幅は最大でも年率6.4%程度であったことや史上最低金利が続くとみられることから、年率2桁の暴落は考えにくいものの、年率4~5%の下落は十分ありうるだろう。

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