世界的に住宅ローンの延滞が急増しそうだ 住宅価格下落と消費不振のスパイラルも不安

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当局や金融機関はどう対応しているのか。

アメリカでは新型コロナの影響による場合は、原則180日の支払いが猶予され、住宅の差し押さえも停止されている。日本でも今回の金融庁の対応は早かった。4月初旬に銀行に対し柔軟な対応を求め、5月下旬には「審査なしで1年の元金返済を猶予した」などの銀行の対応事例を掲載している。また、全国銀行協会では新型コロナ影響による延滞は情報センターへの登録を控えるよう、申し合わせている。

しかし、これらは一時的に元金の返済を猶予する措置にすぎず、返済総額が減るわけではない。例えば住宅金融公庫など一部の銀行は、支払い最終期限を延長して当座の返済を抑える対策をいち早く発表した。しかし、支払いの上限年齢(80歳が一般的)は変えないとしていることから、たいした延長はできないケースが多いとみられる。期限を延長できなければ、とりあえず返済を低く抑えたとしても、あとで増加するだけだ。

また、外部の情報センターに延滞を登録しないとしても、その銀行内の記録は消しようがない。教育ローンやオートローンなど、別の取引を希望する場合の影響は不透明だ。

足元の住宅価格はまだ堅調だが…

こうした延滞の増加で今後どのような影響が生じるだろうか。

まず、住宅価格の下落が予想される。

延滞の増加が激しいアメリカで見てみたい。全米不動産業協会のデータによれば、5月の中古住宅成約指数は前年同月比では10.4%の低下となったものの、前月からは44.3%上昇という急回復ぶりをみせた。6月30日に発表されたケースシラー住宅価格指数(20都市)も、前年同月比で3.98%の上昇となっている。

堅調な住宅価格と延滞とのギャップが不気味である。住宅ローン金利が30年物の固定で3.1%と歴史的低水準にあることや、銀行の担保権行使が禁じられていることから、住宅在庫が減少していることなどが効いているようだ。

しかし、今後についてはまだ楽観視できない。延滞の増加で銀行の貸出条件が厳しくなりつつあるためだ。

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