3月15日、米国で過去最大の民間開発プロジェクト「ハドソンヤード」がニューヨークにオープンした。日本勢では三井不動産が参画している。総工費は250億ドル(約2.8兆円)。住戸部分の販売価格は約4億~35億円。それでも、今年年初に一戸260億円の過去最高値で売られたマンションに比べれば、かなりリーズナブルかもしれない。
過去5年の世界の不動産価格の高騰はすさまじい。BIS(国際決済銀行)でデータが取れる都市部の住宅地は平均で3割以上も上昇した。特に、香港、カナダ、スイス、ニュージーランドなどでは5年で5割近い上昇となっている。
東南アジアでも不動産価格が高騰
このような不動産高騰の波は新興国にも押し寄せている。
カンボジアのシアヌークビルは、かつては国内の富裕層に愛される海辺の静かな街だった。それがここ数年で、カジノと大規模ホテルが並ぶ一大リゾート地となった。2009年に日本で会社更生法を申請した不動産会社クリードも、首都プノンペンで2000戸規模のマンションを建設、系列会社を束ねて同国で6社目となる上場を目指すと報じられている。1戸当たりの価格は1500~2800万円程度と、新興国としてはなかなかの価格だ。カンボジアでは地価の公式データはないが、報道によれば、人気の場所では5年で6倍にもなったといわれる。
タイやマレーシアでも大いに盛り上がっている。タイの不動産価格は、昨年前半時点で、前年から6~7%上昇した。株価も不安定なこれらの国々の住宅価格がなぜ上昇するのか。
背景にあるのは何と言っても中国マネーだ。シアヌークビルは、今や人口の25~30パーセントが中国人と推定されている。タイやマレーシアは、引退後に移住したい国として中国人にも人気だ。特に近年、中国の投資家からの関心が高く、中国の不動産投資情報サイト居外(Juwai)によれば、物件照会数のランキングでは、米国や豪州を抑えてタイがトップとなっている。
こうした好調を続ける住宅価格については、もう1、2年前から、「そろそろバブルが弾けるのでは」と言われてきた。筆者自身、これだけの上昇は続くまいと思ってきたが、結局ここまで堅調に推移してきた。
しかし、いよいよ、昨年の秋口から気になる兆候が出始めた。
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