IFRSの導入を日本の資本市場活性化の好機に--ジェームス・クィグリー デロイト トウシュ トーマツCEO
--IFRSを導入したほうが、日本企業の株式を海外投資家が購入しやすくなると。
今、全面的にIFRSを採用していないのが世界の2大資本市場である米国と日本。現在は米国基準や日本基準があり、海外投資家はそこを照合して投資判断している。IFRSに一本化すれば、その手間は省けるので投資しやすくなる。
また、フォーチュン500社など米国の主要企業のほとんどがIFRSを導入した場合、日本が導入していないとなると、それはディスアドバンテージになる。そこまで進むと、IFRSを採用していることが期待され、採用していないとデメリットになるかもしれない。フォーチュンのグローバル500社の中でIFRSの導入企業は今全体の40%。来年には50%に達しよう。
--11年に米国がアダプション(強制適用)するかを決めると思いますが、現状の景気環境下では延期される可能性もあるのでは。
現在の景気後退期での導入コストを考えると、米国企業の間でもIFRS採用へのモメンタムが少し尻すぼみになってきている。
でも、やっぱり高い品質のスタンダード、単一のスタンダードを持つべきだと個人的には確信している。優れた単一のスタンダードの目標に向かって、IFRSへのコンバージェンス(収斂)の旅路を米国も日本も前に進んでいくべきだろう。その過程で、ガバナンスの問題やファンディングの問題を解決していけばいいのではないだろうか。
米ピッツバーグのG20の宣言を見ても、規制当局に対して11年6月までにコンバージェンスを完了すべきであるとの要請が出ている。