IFRSの導入を日本の資本市場活性化の好機に--ジェームス・クィグリー デロイト トウシュ トーマツCEO
--IFRSは原則主義(プリンシプルベース)ですから、導入時にある程度の解釈が必要となる。それを担うのはデロイトなど4大会計グループとなるのでしょうか。
まさにそれが今後、われわれが取り組むべき挑戦というか課題だ。プリンシプルベースになればなるほど、実際の実行において多様性が出てくる。どの程度の多様性が許容されるか、あるいはいいのか悪いのか、そこをきちんと見て、しかるべき許容性の中に当てはめていくことが重要だ。そのガイドラインを出す源泉が4大会計グループになると思う。
ただ4大グループは一つのソースにすぎない。われわれ以外に、各国でスタンダードを決める機関があるのだから、そこからもガイドラインは出てくるかもしれない。たとえば日本の企業会計基準委員会がガイドラインを出してくるかもしれない。
また、IFRSを作成するIASB(国際会計基準審議会)自らが原則ベースの基準に加えて、インプリメンテーション(実行のガイドライン)を出し、バラツキをなくすよう指導するケースもあるだろう。
ただ、いわゆるルールベースのものから原則ベースのものに移っていく橋渡しをするのは、やはりわれわれ専門家の判断だと考える。
--デロイト トウシュ トーマツは会計部門とコンサルタント部門の両方を持っています。業務運営上、利益相反にならない仕組みをどのように構築しているのですか。
われわれは戦略的な判断として、企業をセグメントするのではなく、マーケットをセグメントしようと決めた。そのための手続きも整備している。だから、監査・法的サービスを提供する相手先に対しては、規制上あるいは法律上禁じられている他のサービスを提供しないという体制は作り上げている。われわれは総合的なプロのサービスを提供していくビジネスモデルを選んだ。それこそが正しい選択だと確信している。