――原宿の新商業施設「WITH HARAJUKU」(ウィズ原宿)にNTTアドと共同で、カフェと物販の実験店舗を開設しました。
これはデジタルマーケティングの試験店舗だ。羽田空港は年間8000万人以上の利用者がいるが、その顧客データをどう活用するかは大きな課題だった。顧客の行動情報を吸い上げて分析し、次の顧客と接するときに役立つ店作りがこれから重要だ。
店内にカメラが付いていて、顧客の行動が映るようになっている。どういう人が何を買ったかはこれまでも把握できていたが、試験店舗では、入店して何も買わなかった顧客になぜ買っていただけなかったのかというデータを蓄積していきたい。
インバウンドに頼りすぎた
――小売業のあり方はコロナ禍の前後でどのように変わりそうですか。
コロナ禍の前から百貨店は、業界全体で10兆円ほどあった売上高が半分近くになっていた。小売業トータルの売上高は130兆円で変わっていない。(百貨店から)「カテゴリーキラー」の低価格で高品質な専門店やネット通販へ数字が移っていった。
百貨店のシェアはピラミッドに例えるなら最上部。そこをターゲットにすべきだといまでも思っているが、価格競争に紛れてほかの業態と同質化してしまった。わざわざ買いに行くという購買行動はそこにしかないものがあるということだから、いかに同質から脱却し、独自性を持って展開できるかをもっと追求すべきではないか。
――訪日外国人観光客に頼りすぎていた面もあります。
いまインバウンド消費がなくなったと騒いでいるが、もともと金額は4兆円ちょっとしかなかった。日本のGDPの1%に満たないのは、本当にいいものを提案できていなかったからだ。これからはますます「量から質へ」が重要になる。顧客の数が減る分、1人ひとりに買ってもらう額をどうやって上げるか、ということが大事になる。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら