コロナ第2波到来でも株価はあまり下がらない 目先膠着でも長期的な株価の上昇基調は不変
現在は、そうした買い方の投げ売りや、売り方の買い戻しが一巡し、投資家の見解はどちらにも大きく傾いていないように思われる。その点からも、当面の内外の株式市況は、動意に乏しい状況が続くように考えている。
このような、当面は市況が上にも下にも大きくは動かない、という見通しを述べると、「馬渕さんの今の予想は、つまらないですね」とよく言われる。
しかし筆者は、投資家を面白がらせるために予想を作成しているわけではなく、投資家を買いに走らせたり売りに向かわせたりしたいわけでもない。株価が上がると思えば上がると予想し、下がると考えれば下がるとの見通しを述べ、あまり動かないと見込めばそう語るに過ぎない。
中国の動きは深刻だが大きな悪材料にはなりにくそう
以上の見通しを述べたうえで、今世界中の懸念を呼んでいるのは、6月30日(火)に、中国で国家安全法が施行されたことだろう。なにしろ、いきなり香港内で多数の逮捕者が出る事態となっている。
こうした中国の動きは、特に香港にいる人々の人権を脅かす事態だと言えるうえ、同法は香港行政区以外に住む香港市民以外の人々も対象にしている、との指摘も聞かれる。つまり、同法は、中国国内法を他国にも押し付けようとしているように見える。
これに対し、アメリカ側からの圧力が強まるとの観測があり、実際トランプ政権や議会は、中国要人の訪米ビザの発給停止など、様々な報復策を打ち出しつつある。ただし経済という観点に限れば、アメリカが対中輸出や対中輸入を大幅に制限する、あるいは関税の引き上げを大幅に行なう、ということでなければ、世界経済への影響は出にくく、株価も大きくは下振れしないだろう。
トランプ政権は、これまでのアメリカの中国に対する圧力策が奏功し、通商合意を得られた、と主張して、それが同政権の手柄だと吹聴してきた。香港問題への報復で、通商合意を放棄し貿易面で対中圧力を加えることは、その「手柄」を自ら捨て去ることになる。その点では、トランプ政権も及び腰の面が否めない。
こうした同政権の弱腰は、中国の覇権主義に本格的なブレーキをかけにくい、という点では極めて懸念される。だが株価動向という点では、ある意味悲しいことだとも言えるが、大きな悪材料にはなりにくいのだろう。
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