――ベルギー戦では終盤にコーナーキックから失点しました。後に長谷部が「6人までマークを対応できるようにしていたが、あそこの場面では相手が7人来てやられてしまった」と反省していた。相手は負けていたので、リスクを負って人数をかけてきたのです。宮本さんならどう対応しましたか?
全員が気づくのがいちばんいいのですけど、キャラクターによって気づける選手、気づけない選手っていうのがいます。得意な選手に全体を見る役割を与えて、マネジメントする必要がある。相手は負けていたら、やっぱり終盤にセットプレーの人数を増やしてきますからね。
――今の日本代表はセットプレーに弱い印象があります。原因はどこに?
そうですね。マークが不得意な選手が多いと難しいと思います。
――高さの問題だけじゃなく、マークの技術の問題だと。
セットプレーはいいボールを入れられると難しい部分はある。でも、コンフェデのメキシコ戦のように、ニアで相手にそらされてファーで決められるというのは、うまく人を置けば防げる。まあ、そこは監督の好みもありますが、今のやり方を見ていると、セットプレーの人の配置は変えないでしょう。
ミスを防ぐ方法
――ミスと言えば、DFラインのコントロールのミスも目につきます。昨年8月のウルグアイ戦では、センターバックの2人の意図が合わず、裏を取られて失点してしまった。ベルギー戦の1失点目もルカクに裏に抜け出され、GKの川島永嗣が飛び出して決められてしまいました。
そうですね。高いレベルになると、普通の試合に比べて駆け引きのスピード感が違う。裏をケアするのは大事だと思います。ウルグアイ戦ではハーフライン近くでDFラインを設定していましたけど、最も危ないのは裏だという意識があれば、あらかじめちょっと下げる選択肢もあった。最も危険な場所を消すという作業をつねにすれば、ああいうミスはなくなってくると思う。
――あのときは吉田がラインを上げた一方で、今野泰幸がやや後ろでとどまっており、吉田が「上がってなかったのか!」と驚いた顔で見ていた。
コンちゃんはもともとDFラインの細かな上げ下げをしてきた選手ではないので、そういうことを頭に入れてやる必要はあると思う。この問題はトルシエ時代のフラットスリーと同じですよね。何でもかんでもラインを上げるのが、最適な選択ではない。長いボールを蹴られるのがわかっていたら、それをうまく吸収したほうがいい。やりようだと思うのですけどね。
――日本代表のラインコントロールではどう見ていますか?
2人(今野と吉田)とも、そこはあまり気にしていないなってふうに思いますね。小まめにやるタイプではないと。それなら森重真人のほうがそういうイメージがあるというか。
ただ、これは僕の印象にすぎない。みんなで練習したと聞きましたし、ラインコントロールに対する意識が高まっている気がします。攻撃と同じように、守備も感覚を合わせるのが大事。お互いに同じ画が描けるように、きっと大会までに合わせてくれるのではないでしょうか。
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