保健当局者が悩む陰湿な「コロナ差別」の実態 住所割り出され、自宅前でシュプレヒコール

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「何度もナチス呼ばわりされた」と、ヤキマ保健区のエグゼクティブディレクター、アンドレ・フレスコ氏は話す。「来ないでくれと言われた店もある。共産主義者、ゲシュタポとも呼ばれている。ののしられ、めちゃくちゃな扱いを受けている。とても厳しい状況だ」。

カリフォルニア州では、怒った抗議者たちが保健衛生局職員の住所を割り出して自宅前で集会を開き、プラカードを掲げてシュプレヒコールを上げている。コントラコスタ郡では6月中旬、「フリーダム・エンジェルズ」と名乗るグループがまさにこのような行動に出て、自ら撮影した動画をフェイスブックに投稿した。

「私たちの家を襲ったのは、あいつら」

動画では、ある女性が「今日は抗議のために郡の保健担当者の自宅前に来ている。自宅まで押しかけたことに不快感を覚える人もいるかもしれない」と語っている。

「でも、これは言わせてもらう。私たちの家を襲ったのは、あいつら。あいつらが企んでいるのは、接触者の追跡、検査、マスク着用の強制。最終的には試験も済んでいないものを私たちに注射するつもりよ」。明らかにワクチンのことを言っているのだろうが、まだ承認されたものは1つもない。

カリフォルニア州オレンジ郡の保健衛生局長、ニコール・クイック氏は、食料品店や薬局など特定の業種でマスク着用が義務付けられてから抗議や嫌がらせが激化し、職を退いた。コロラド州郊外のリオグランデ郡公衆衛生局ディレクターのエミリー・ブラウン氏は、行動制限の強化を勧告したところ地域社会の抵抗に遭い、更迭された。

アメリカ全土に辞職が広がる中、保健衛生関係者の間では、まさにパンデミックと戦わなければならない状況で保健当局がリーダーシップ不在に陥るのではないか、といった懸念が強まっている。

「ここまで痛烈な批判はこれまでに経験したことがない」と、カリフォルニア州保健担当者協会のエグゼクティブディレクター、キャト・デバーグ氏は話す。「今起こっていることだけでなく、先行きも心配している。こんなにも嫌がらせを受ける職業に、いったい誰が足を踏み入れようとするだろうか」。

(執筆:Julie Bosman記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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