保健当局者が悩む陰湿な「コロナ差別」の実態 住所割り出され、自宅前でシュプレヒコール
アメリカ各地の保健担当幹部はここ数週間、嫌がらせや個人的中傷、殺害予告を含む脅迫にさらされている。マスクの着用義務や営業規制が行きすぎだとして、怒りを声高に表明する少数派が過激な行動に出ているのだ。
ロサンゼルス郡公衆衛生局ディレクターのバーバラ・フェラー氏は6月22日、公衆衛生職員に対する攻撃を非難する声明を出し、自らもこうした脅迫を繰り返し受けていると明かした。
「殺害の脅迫は先月、フェイスブック・ライブで新型コロナウイルス関連の説明会を行っているときに始まった。『この人、撃たれちゃえばいいのに』と、誰かがとても軽い調子で書き込んだのです。私はすぐには気づかなかったが、夫も、子どもたちも、同僚たちも、そのメッセージを見た」。フェラー氏は声明でこう述べた。
「懸命に働いている感染症医師や看護師、疫学者、環境衛生の専門家といったチームのメンバーが、これほどの憎悪に直面しなくてはならないとは憂慮に堪えない」と、同氏は付け加えた。
武装したデモ隊が自宅に押しかける
アメリカでは保健当局の多くが拡大する危機の対応に苦しんでいる。今回のパンデミックに突入する以前から、保健当局の人材は最小限で、予算の制約も厳しかった。仕事の内容も、これまでは疾病予防、感染症の接触者追跡、ワクチン接種、ベイピング(電子たばこ)を含む禁煙キャンペーンが中心だった。
ところが今では、保健当局の職員がコロナ関連のテレビ会見など公衆の面前に引っ張り出されるようになった。こうした状況に耐えられず、退職を選ぶ職員も増えている。