コロナ専門家会議が解散するまでの一部始終 釜萢敏日本医師会常任理事が語る反省と課題

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――保健所主体の検査のボトルネックを解消すべく、区市単位で設立されたのが地域の医師会が主導したPCR検査センターでした。ゴールデンウィーク明けから各区市単位で設置が本格化し、地域の開業医が輪番で検査に従事するようになりました。

ときに誤解も拡散されるオンラインニュースの時代。解説部コラムニスト7人がそれぞれの専門性を武器に事実やデータを掘り下げてわかりやすく解説する、東洋経済のブリーフィングサイト。画像をクリックするとサイトにジャンプします

帰国者・接触者相談センターを経由せずに検査ができる道筋を作らなければならないと痛感し、都道府県医師会に強くお願いした。当時は感染防護具の不足が深刻なこともあり、立ち上げに時間がかかったが、PCR検査の促進に役割を発揮している。

入院医療のパンクを回避するうえで大きかったのが、4月2日付けでの退院基準の見直しだった。それまでに感染した人は症状の有無にかかわらず全員を入院させていたが、宿泊施設や自宅での受け入れも可能にした。当時、自宅療養は管理の目が届きにくく、家庭内感染のリスクがあるのでやめたほうがいいと申し上げたが、厚労省はむしろ積極的だった。その後、自宅で療養していた患者さんのうちで急に状態が悪化して救急搬送されるケースが相次ぎ、宿泊施設における健康観察が主流になった。

PCRなどの検査はゆとりのある万全の体制で

――緊急事態宣言の解除に続いて、政府は出入国管理を緩和しようとしています。今後の検査や医療提供体制の課題をどのようにお考えでしょうか。

経済活動をできるだけ早期に回復させていくことは是非とも必要だ。そのためにはPCRなどの検査を迅速に実施できるゆとりのある体制を早急に構築しなければならない。ビジネス上の理由からPCRなどの検査を保健所による行政検査とは別に行おうという動きも広がりつつあるが、奪い合いにならないように行政検査で必要なリソースはきちんと確保しておく必要がある。検査キットの増産や検査体制の整備具合を確認する必要がある。

――専門家会議は大きな役割を果たしましたが、政府は見直しに踏み切りました。今後の組織のあり方について、どのようにお考えですか。

われわれが政策決定できる立場にないことは当然だ。感染拡大をどう抑え、重症者・死亡者をいかに減らしていくかといった点について意見を述べることはできるが、経済への影響分析については門外漢だ。感染症および他分野の専門家の意見を踏まえ、バランスを取りながら政府が判断していく仕組みが重要だ。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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