「労災かくし」は重大な犯罪 第3回 事業者は4つの責任を自覚すべき

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労働災害を起こさないためには

労働災害防止の基本は、労働安全衛生法や関係法令をしっかり守ることです。労働安全衛生法令には、会社が行うべき危険防止に関する措置が定められています。また、業種と規模に応じた安全衛生管理体制の整備、安全衛生教育の実施に関するルールも示されています。

 労働安全衛生法と関係規則の多くは、これまでに起こった労働災害を教訓に定められています。この法律を理解し、正しい知識を身につけることが、労働災害防止の第一歩につながります。

 とはいえ、労働安全衛生法は、労働災害防止のための最低基準が示されている法律です。そのため、この法律を守ってさえいれば、万全というわけではありません。そこで求められるのが、会社と従業員が一体となり、安全に対する意識を高め、労働災害防止に向けて行う自主的な活動です。「4S活動」、「危険予知活動」や「ヒヤリ・ハット活動」などが、これにあたります。

また、労働災害の原因に応じて、個別の対策をとることも重要です。たとえば、小売業や飲食業では、転倒災害が多くなっています。しかし、「転倒」とひとことで言っても、つまずきによる転倒と、すべりによる転倒では、とるべき対応策が異なります。前者では整理整頓の徹底が、後者では安定した履物の着用が、まずは必要となります。

 このように、労働災害の原因別に対処しなければなりません。詳しくは、拙著店長のための早わかり労働安全衛生法をご一読ください。

近藤 恵子 特定社会保険労務士

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こんどう けいこ / Kondo Keiko

特定社会保険労務士、産業カウンセラー。 公益財団法人21世紀職業財団認定セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント防止コンサルタント 近藤社会保険労務士事務所所長。 各種セミナー講師のほか、人事・労務管理施策の企画・立案・運用支援、諸規程の作成・改定など、人事労務コンサルティング業務を中心に活動中。 著書に『イラストでわかる 知らないと損する労災保険 』(東洋経済新報社)、『ここからはじまる早わかり労働安全衛生法』 『現場監督のための早わかり労働安全衛生法』『店長のための早わかり労働安全衛生法』(共著、東洋経済新報社)がある。

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