手越祐也「話すほど自我が見えた」会見の違和感 「会見に向かない人」と思わせるフレーズを連発

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だからこそ、1人の社会人として疑問を抱かざるをえなかったとともに、「お集まりいただきましてありがとうございます」「僭越ながら」「心から感謝」などと一見周囲を気づかうような丁寧なフレーズも、形だけのものに見えてしまったのです。

あらためて会見全体を見直してみると、この日の手越さんはふだんの「アイドル・手越祐也」でも「チャラ男キャラ」でもなく、笑顔でハキハキと話すビジネスパーソンのようなキャラクターでした。

しかし、ふだんとは異なるキャラクターだったからこそ、過剰な自我の強さが目立ってしまった感があります。今回のような自分の意志で組織を去るケースでは、「僕」「私」などの自我の強さを感じさせる主語をできるだけ入れないのがセオリーです。手越さんのように「僕」を連呼してしまうと、「わがまま」と見なされかねません。

実際に手越さんは、「僕はウソをつかないので」「僕ってスピード感を重視する人なので」「破天荒な僕を」「僕が大黒柱で一家の主」「僕の収入で母を扶養に入れている」「ビジョンや構想がたくさんあるので『面白そうだな』と思わせられる絶対的な自信が僕にはある」「新しいステップで結果を出さないと(メンバーの)3人に僕は失礼だと思っている」などと話していました。

「影響力を最大化」公言する危うさ

さらに、「個人で出ていって、いろいろなところに“手越祐也”という名前を刻むしかない」「『NEWS・手越祐也と(ライブを)やりたい』と言ってもらえた」「僕、手越祐也、1人の男として」「ジャニーズしか知らない手越祐也の新しい人生」などと自分の名前を連呼。おそらくビジネスパーソンの皆さんは「僕」「名前」を繰り返した手越さんのコメントに幼さを感じたのではないでしょうか。

会見での話し方全体を見ても、相手に伝えることより、自分の思いを話すことを優先させた結果、1つ1つのコメントが長くなり、要点がわかりにくくなってしまいました。

もう1点、気になったのは「自分の影響力を最大化していきたい」というフレーズ。そういう思いを抱くことは自由であり、戦略の1つともいえますが、公言することで「偉そう」「何様?」などの反発を招くリスクが高く、避けるべき危ういフレーズなのです。

手越さんには優秀なブレーンがいると言われていますが、この日の会見を見るかぎり、コミュニケーションに長けた人がいないか、いてもアドバイスを受け入れていないのかもしれません。

次ページスタートから質疑応答に入るまでは約33分間
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