手越祐也「話すほど自我が見えた」会見の違和感 「会見に向かない人」と思わせるフレーズを連発

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手越さんは終始「正直に話す」というポリシーを貫いていたのは間違いなさそうですが、そのスタンスが「他者への優しさに欠ける」という人柄を露呈することにつながってしまいました。手越さんに限らず、自分を正当化する言動が癖になりがちな人ほど、知らず知らずのうちに身近な人を軽視し、ぞんざいな扱いをしてしまうケースが多いので気をつけたいところです。

隠し切れないジャニーズへの不満

手越さんが事務所やグループへの愛を強調したことで、人々の関心は「ではなぜ辞めたのか」に移りました。

そこで手越さんが語ったのは、「例えば『1人で作詞作曲のアルバムを作りたい』って言ってもなかなかOKが出ないし、時間がかかってしまいます。『自分があれこれやりたい』っていうアイデアがあっても、スピード感が遅くて、なかなかかなわない」「あるミュージシャンから『僕らのフェスに出てほしい』『ライブに出てほしい』と言われたのに、マネージャーに話したら断ってしまったんですよね」というジャニーズ事務所に対するもどかしさ。また、「僕がプライベートの人脈で仲よくなった人から、『せっかくだからNEWS・手越祐也とやりたいから』と言われてマネージャーにつないで決まった仕事が多い」とまで言ったのです。

さらに手越さんは今後の野望として、「世界に対しての思いが昔から強いので、ツイッター、インスタグラムもそうですけど、中国のウェイボーも活用しながら、その先には世界ナンバーワンのアメリカにも挑戦していきたい」「YouTubeも僕の表現の1つとして『イッテQ!』だったりバラエティも大好きなので、小さい子にもお父さんお母さん世代にも楽しんでもらえるコンテンツを、やるからにはナンバーワンを獲りたいので作っていきたい」などと語りました。

ただ、ジャニーズ事務所はSNSやYouTubeを積極的に活用し始めたり、元NEWSの山下智久さんが海外進出したり、堂本剛さんも自由度の高い音楽活動を展開するなど、決して自社タレントの芽を摘むような会社ではないはず。彼らと手越さんは、「マネジメント側とうまくコミュニケーションが取れていたか」「自由に挑戦させてもらえる環境を作れたか」の2点で大きな違いがあったのではないでしょうか。

会社の中で調整を重ねながら成功を勝ち取るタイプと、独立して勝負することで力が引き出されるタイプがいるなど、向き不向きがあるとはいえ、長年世話になり続けてきた事務所の人々を否定するような物言いは、後ろ足で砂をかけるようなものでした。

次ページ気遣うような丁寧なフレーズも形だけに見えてしまった
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