文系より冷酷と勘違いされる「理系人間」の悲哀

「あまりに正確すぎる態度」は人のウケが悪い

なぜ「理系人間の言葉」は誤解を与えやすいのか?(写真:overlay/PIXTA)
正直に誠実にメッセージを送るのに、なぜか「冷たい」と言われる理系の人たち。なぜ彼らの言葉は「正確」にもかかわらず、聞く人に誤解を与えがちなのか? 自身も理系で、作家でフリーランス広報としても活躍する藍月要氏による文章読本『理系のための文章教室』より一部抜粋・再構成してお届けする。

もしあなたが理系だとしたら、人から「冷たい」と言われたことはありませんか? 培ってきた良心にしたがって、正直に誠実に一生懸命にメッセージを送ったら、なぜかそんな風に思われてしまったことはありませんか?

たとえば、以下のようなお話。

文系くん:パソコン直してくれてありがと〜、これでもう絶対だいじょうぶだよな。
理系くん:絶対ではない。今回の不具合の原因は潰したけど、他の部分で問題が起こる可能性があるから。
文系くん:え、今度、あのパソコン使って発表やるんだけど、ヤバイかな……?
理系くん:ヤバイという言葉の定義による。
文系くん:…………。

こんなやりとりに心当たりは? わたしはあります。嫌な汗が出てきた! つくづく、執筆中にこんなに嫌な汗の出る文章ははじめてです。積んできた業が襲ってくる。

なぜ「理系は冷たい」と言われるのか?

理系の説明はとかく、冷たいと言われがちです。これはどうしてなんでしょうか。いちばん大きな原因はやはり、前回記事、前々回記事でも説明してきたように、理系が一般の方々よりも正確さをとても重んじていることにあります。

その最もわかりやすい例は、絶対という言葉の取り扱いです。

理系は、絶対という言葉を基本的には使いません。なぜなら、絶対なんて(それこそ絶対に)ないからです。

ものすごく極端な例を挙げます。

「この装置、これだけ強く固定すれば、絶対ここから動かないよね?」と言われたとしましょう。しかし、動くどころかその装置が次の瞬間、隣の部屋にテレポーテーションすることだって、量子力学にたどり着いた現在の人類は、決して否定し切れないのです。可能性は、非常に非常に非常にわずかですが、確かに存在します。

だから、自分から絶対とは言わないし、他の人からそう確認されても、絶対ではないと答えます。理系のできる、絶対にいちばん近い表現としては、「その可能性が極めて高いと判断している」などになるでしょう。これがほぼ限界値ですよね。

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