日本の株主総会が世界から20年も遅れている訳 企業統治をめぐる「2つの致命的な誤解」とは

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ギャンブラーなら全員知っているが、一番の悩みは、いくら買うか、である。今日は自信があるから1万円突っ込もうか、いや外れたら目も当てられないから2000円にしておくか、いや当たったら彼女と焼き肉行きたいから、当たり馬券の総額が3万円は超えないとつまらないから、いま6倍のオッズだから5000円は買わないと、とか。

ただ、金額で悩んだときは、まったく当たらないのがほとんどだ。金額で悩んでいる時点で雑念があり、ダメなのである。しかし、悩まずにズバっと当てたときは、今度はものすごく後悔する。なんで5000円にしたのか、1万円にしておけば別の彼女とも行けたのに、などと自分を責めることになる。

WIN5の場合は、普通は1点につき100円しか買わないから、その悩みがない。これは本当に素晴らしい。そして、10万円ぶっこむ、などという阿呆なことをすることが、どんなに血走っているときでも、まずない。

WIN5の「4つの困ること」

一方、困ることもたくさんある。

第1に、当たらない。何度やってもあたらない。5つ全部当てるのは難しいのである。

第2に、だから、点数を増やす。1レースごとに3頭も4頭も買ってしまう。例えば、1レースごとに3頭ずつ選んで買うと、5レース買えば、243通りになってしまい、購入額が2万4300円になってしまう。

第3に、儲からない。2万4300円買って当たったのはいいが、すべてのレースで一番人気が勝つと、配当は例えば7000円にしかならないこともある。いわゆるトリガミだ。やっとあたってもトリガミ。

第4に、そうこうしているうちに、当たらなさすぎていやになる。楽しくなくなる。WIN5を買うのをやめる。だから、ほとんどの場合、損したまま、楽しくないままやめることになる。

実は、買い方に1つ、コツがある。長くなったので、それは次回。ぜひみなさんも1度買ってみてはいかがだろうか。コツのヒントは、株価はみんなが買う銘柄を先回りして買うこと。馬券は、みんなが買わないものを買うこと。Good Luck!

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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