プロ野球開幕、名伯楽ノムさんが遺した大予測 「結果を出すトップ」はここが違う

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プロ入り後、先発ピッチャーとしてなかなか芽の出なかった高津に対し、「抑えをやってみろ」と私が命じたのは、彼のプロ入り3年目となる1993年のことだった。

彼は最大の武器だったシンカーに磨きをかけ、当時の球団新記録となる20セーブを挙げ、ヤクルトのリーグ優勝、そしてその後の日本シリーズ制覇に大いに貢献してくれた。以降の彼のクローザーとしての活躍は、私がここで語るまでもないだろう。

高津が日本を代表するクローザーへと大成長を遂げたのは、紛れもなく彼が「考える野球」をできる選手であったからだ。

だが、正直に申せば「高津がヤクルトの監督に就任する」と聞いた時は、「高津が監督なんてできるのか?」とちょっと心配になった。とはいえ、彼がヤクルトの二軍監督を3シーズンにわたって務めてきたことは知っているから、監督としての基礎のようなものはすでに出来上がっているのかもしれない。

人としての力量は一朝一夕に出来上がるものではないし、小手先のテクニックでごまかせるものでもない。常日頃から物事に真摯に取り組み、己の力を蓄えていくことで、周囲からの「信」をちょっとずつ得ていくことができる。その「信」の積み重ねこそが「人間としての力量」となる。

私が知らないだけで、高津は2軍監督時代に選手たちから「信」を得ていたのだろう。新たなシーズンに臨むにあたり、その「信」は真の「信」なのかどうか、注目したい。

新たなシーズンを迎えるにあたり、現状のセ・リーグの6球団を見ると、力的に飛び抜けたチームはない。高津にとって、これは大きなチャンスと言っていい。かつてのヤクルトのように、ちょっと頭をひねって上手にやりくりすれば、前年最下位のチームであっても十分に優勝は可能だと思う。

高津には「弱いチームを強くするのは楽しいぞ」と言ってあげたい。野球は頭のスポーツである。頭を使えば弱者が強者になれる。それが野球というスポーツの醍醐味なのだ。

強いチームを作るためには、部下である選手と理解し合い、信頼の絆で結ばれることが必要である。

ライオンズ・辻監督が結果を出す理由

野球は「間」の多いスポーツである。球技の中でこれだけ「間」のあるスポーツは他にない。そしてこの「間」を上手に使い、考えながら野球のできる人間が最後には勝つ。

2019年、パ・リーグの覇者となったのは埼玉西武ライオンズである。その後、クライマックスシリーズで勝ち上がった福岡ソフトバンクホークスが日本シリーズ3連覇という偉業を成し遂げたため、すっかり影に隠れてしまったが、ライオンズもリーグ2連覇と立派な成績を残しているのだ。

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