邦銀を取り巻く事業環境は引き続きネガティブ《ムーディーズの業界分析》
金融機関グループ
AVP−アナリスト 梶 恭輔
AVP−アナリスト 梶 恭輔
2010年の邦銀を取り巻く業界環境は、昨年に引き続きネガティブ
ムーディーズは、今後1~1年半程度の期間の、日本の銀行業界全体の信用ファンダメンタルズ見通しについて、ネガティブを継続する。
これは、邦銀各行の財務を圧迫することになった急激な景気後退が最近落ち着きを見せているとはいえ、各行を取り巻く業界構造(国内経済の停滞による恒常的な預金超過状態、事業規模・業態によるすみ分けが十分できていない点等)を背景に、リスクに見合っただけの金利を本業である貸し出し事業から得られていない状態が一朝一夕には変わらない、と見込まれる点を主に反映したものである。マクロ経済環境と業界構造により規定される邦銀各行の低収益性は、個々の銀行の経営努力のみではその継続的な改善は見込みづらい。特に近時厳格化の方向にあるリスク管理、レバレッジの活用、金融当局による監督を考慮したとき、近い将来における収益性の改善はますます困難になっている。
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