邦銀を取り巻く事業環境は引き続きネガティブ《ムーディーズの業界分析》
しかしながら、現在の状況が継続する場合でもさらなる格下げが続くことは想定していない
ムーディーズは、2009 年に数行の格下げを実施しているが、その理由は、主に世界の金融・経済環境の悪化を背景とした、対象行の与信費用の増加/保有株式・証券化商品の時価下落による多額の当期損失の計上と、それが当該行(グループ) の資本、ならびにビジネスモデルの持続性に与える悪影響であった。
なお、各行の格付け見通しがおおむね安定的なことに反映されているように、ムーディーズは現在の経済・金融環境が継続する場合でも、さらなる格下げが続くことは想定していない。これは、以下の4点を根拠とするものである。
2009年に必要な銀行に対してすでに格下げを実施した。
現行の銀行財務格付けには、相当程度のストレス(信用リスク、市場リスク)が織り込まれている。
相当数の銀行で自己資本調達が実行されている。
預金格付けに織り込まれている高水準の政府サポートの存在が、各種施策の実現により確認された。
ただし、現状想定されているストレスの程度について、より保守的な調整が必要になる場合には、結果として財務格付けの変更が必要になることも十分にありえよう。現行のストレスシナリオは、今年度第1四半期に設定されており、日本のマクロ環境の傾向を見ながら、その適合性が定期的に見直されることになる。ただ、これまでのところは、各行のトップラインの営業ベースの利益、与信関係費用、株式エクスポージャーについては、ムーディーズで実施しているストレステストでいう、ベース・ケースの範囲内に十分収まっている。
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