楽天モバイル「周波数の無断変更」にみる危うさ 独自開発の主力端末で電波法違反のおそれ

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総務省電波環境課は「処分内容は事象の中身を確認してから」としており、規模や悪質性次第では回収も「選択肢の1つ」という。

違反認定されれば楽天モバイルには是正の必要が生じるが、前出の通り11日の追加認証でバンド1を外す変更は認められている。少なくとも現時点では、違反状態は解消されていることになる。また、認証なしに周波数帯を変更して製造・販売していた期間の端末について楽天モバイルは、希望者にはバンド1に対応する端末への無償交換に応じる方針も明らかにしている。

こうしたことも踏まえると、楽天モバイルの報告や同省の調査でよほどの話が出てこない限りは、再発防止を求める程度にとどまる可能性が高そうだ。とはいえ、仮にそうしたレベルの行政処分となったとしても、一連の騒動による楽天モバイルのブランドイメージの低下は避けられない。

勝負手だった1円販売

今回の問題が発覚する前に、楽天モバイルは大きな勝負手を打っていた。それがMiniの1円販売だ。

楽天モバイルは5月27日~6月17日の間、通常1万7000円(税抜き、以下同)のMiniを、同社の通信プランに新規加入することを条件(同社のMVNO<格安スマホ>からの移行でも可)に1円で販売するキャンペーンを展開していた。

楽天モバイルは、「Miniが大変ご好評をいただいているので、より多くの人に使ってもらおうと考えキャンペーンを実施した」(広報)と説明するが、背景には別の理由があるとみられる。

同社は開始当初から通信料金を1年間無料にするキャンペーンを展開してきた(キャンペーン終了後の2年目からの通常料金は月額2980円)。今年中に300万人の利用者獲得を目指すが、5月中旬までの利用者数は数十万人程度にとどまっているとされる。

ユーザーにとって初期コストの端末代がネックになっているとみられ、やむを得ず1円販売を始めたというのが実態のようだ。

この1円販売という大盤振る舞いによりMiniの販売台数は急増。調査会社BCNによると、5月25~31日の家電量販店などでのスマートフォン販売台数で3位となり、前週の84位から急浮上。6月1日~7日には首位に躍り出た。

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