働く「小学生の母」、臨時休校中の苛立ちの正体 3500人調査で判明した「小学生の父」の行動

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ポストコロナの時代は、否応なく家で過ごす時間が長くなるであろう。冒頭で言及したコロナ離婚のような悲劇を未然に防ぐにはどうしたらよいのだろうか? 日常の備えが重要である。

筆者の分析結果では、非常事態宣言後に「怒り」「不安」「恐れ」が高まっている。その中で、落ち着きを保っていた人たちがいた。それは「雪国」に居住する人たちである。

例えば、1回目調査(3月13日)に比べ、非常事態宣言後の3回目調査(4月10日)に、「雪国以外」では「怒り」を感じる人の比率は7.5%上昇している。一方「雪国」では、4%上昇にとどまる。

「怒り」の増加程度は、「雪国」はそれ以外の地域の約半分である。「雪国」では雪深い日が多く家の中で過ごさざるをえない。その中で東北人特有の粘り強さが培われるのであろう。この特性は派手ではないものの、非常時に耐え忍ぶ局面で強みを発揮する。

日常生活の積み重ねの中に答えはある

家での過ごし方が重要になる時代に、少しでも愉快に楽しく生活を送るカギはどこにあるのか? 共働き夫婦で一緒に「在宅勤務」をすればよいのか? 結局妻が家事をしている間、夫が部屋にこもって仕事に熱中しているようでは、意味がない。

拙著『義理と人情の経済学』で、筆者は日常生活の中での夫婦の会話、家事仕事の共有などの有用性を明らかにした。「共に泣き、共に笑える」関係をつくることが重要なのである。夫婦の距離を少し縮めてみる。有事になる前の日常の積み重ねの中に答えはある。

今の私にできる提言は、次のとおり。

・まずは夫婦で会話を重ね、不満や不安を共有する
・夫の担当する家事や一緒にする家事・育児を増やす

この提言を実行すれば、いつの間にか夫婦の距離が近くなり、家庭内に楽しい空気が流れ始めていることに気づくはずだ。

いや、まずは「隗(かい)より始めよ」である。先日、テレビ電話会議に研究室から参加していたことを思い出す。これからは、家から「会議」に参加しよう。ついこの前は、妻に頼まれてしぶしぶ掃除機をかけていた。言われなくても自分でやろう。一緒に家事仕事をしているうちに、会話も弾むことだろう。これを書きながら、反省している。

これを読んでいる知人は、私に問いかけることであろう。「山村さん、本当に掃除やってるの?」と。このように他者を巻き込んで自分に制約をかける。これは、行動経済学が教える高等戦術なのである。

山村 英司 西南学院大学経済学部教授

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やまむら えいじ / Eiji Yamamura

1968年北海道生まれ。1995年早稲田大学社会科学部卒業、1999年早稲田大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2002年東京都立大学大学院社会科学研究科経済学専攻単位取得退学、2003年西南学院大学経済学部専任講師、助教授、准教授などを経て、2011年より西南学院大学経済学部教授。博士(経済学)。専門は行動経済学、経済発展論。

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